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第90話 痴者。

ある日の夜、レオナはマレウスのいるディアソムニア寮に行こうとしたときに、ポケットに入れていたスマホが鳴った。 電話の相手は兄ファレナだった。 電話に出ないときっと今後しつこくかけてくるだろう、そう思い電話に出た。 「なんだよ兄貴。俺は今忙しいんだよ」 『久しぶりだ、レオナ』 「ホリデーで会っただろうが。内容がただの余談なら切る」 『待ってくれ、ただ話がしたいわけではないのだ。……頼むレオナ、見合いをしてくれないか』 「見合いって、俺が女と?」 『隣国の第二王女なのだが、レオナに是非に会いたいと……』 レオナは溜息を吐いてから笑った。 「ハハハッ……。兄貴は知ってるだろう、俺が女相手に満足できないことくらい。俺は会いたくねぇから、断ってくれ。じゃあな」 『待てレオナ!!最後まで話を……』 レオナはそう言って電話を切ると、またファレナから電話が掛かってきた。 レオナはその電話を出てから直ぐに切ったが、またかかってくる。 どうやらレオナが頷くまでかけてくる気だろう。 「めんどくせぇな……」 着信拒否をしたらきっと学園まで誰かが乗り込んで来るだろう、そう思ったレオナはスマホの電源を切った。

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