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第98話

僕はキングスカラー以外の相手とは、こんなに長い関係を持つ者はいなかった。 その前に恋愛というものに興味が湧かなかったと言っていいのかもしれない。 僕に寄ってくる相手はだいたい僕の地位が目当てだった。 僕と結婚すれば、次期茨の谷の女王だ。 そんな相手はだいたいおばあさまがリリアを使って追い払ってくれていた。 だから僕は性交渉に玄人なわけではなかったのだが、キングスカラーは何故か僕が玄人だと思っているらしかった。 それはきっと僕のモノが人の子よりも大きいからかもしれない。 「……大きいからこそ経験がないと思わないのだろうか」 「人の子は、大きいからこそ遊んていると思っているらしいぞ」 自室なのに僕の前にはリリアがいた。 「人の部屋に入るのなら声を掛けてほしいのもだ」 「声は掛けたぞ。じゃがおぬしは部屋にいるにもかかわらず返事がなかった。だから何かあったのかと思って部屋に入ったのじゃ」 「だからといって部屋に入るとは。僕にはプライバシーがないのか」 リリアは僕のベッドに腰を掛けた。 「おぬしの思っていることをレオナに伝えればいいことじゃろう?それに何の問題があるというのじゃ」 リリアは最もな意見をしてきた。 「だが……、奴は僕を玄人と思っている。キングスカラーほど長く関係を持った相手は他に居ないと知ったら。……重くはないだろうか」 「妖精族が重くないほうがおかしいとは思わぬか?」 「……確かにそうなのだが」 最もなことを言われて僕はまた少し考えた。 人というものは重いものから遠のく者もいるらしい。 キングスカラーがそのいい例だ、性交渉の相手を気分によって変えていた。 きっと僕が更に重いと知れば、僕と距離を置くかもしれない。 「僕は嫉妬などしたくないし、距離を置かれることもされたくない。もどかしい思いも嫌だ」 「のう、マレウスよ。恋愛とはもどかしいものなのじゃ。悩んで悩んで、悩みに悩んで答えを出して。今人の世界にわしら妖精族がいるのじゃ。人と同じことをせずにモヤモヤしてても仕方あるまい」 「だが、前戯がしつこいと言われたことの言い訳のような気がするが……」 「おぬしとレオナはセフレのままで終わってしまうかもしれないぞ」 「それは嫌だ」 「ならば行動すべきことはするのじゃ!!後悔の無いように生きるのがアオハルじゃろうて」 そう言って僕の背中を叩いた。

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