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第112話
ある日城近くに旅行中の獣人族の国の王子が来ていると話を耳にしたときだった。
僕はまだ妖精族と人間しか種族を見たことがなく、興味本位にドラゴンの姿のまま城を飛び出した。
だがこのドラゴンの姿のままでは相手を怖がらせるだけだろう、そう思い空から眺め見るだけにした。
森に身を潜めて獣人族を遠目で見たいたら、幼い仔猫の獣人が僕の存在に気付いて会いに僕の側まで訪れた。
「茨の谷には本当にドラゴンがいるんだ」
その仔猫は僕を怖がることなく小一時間共にし、去っていった。
童女の獣人族があんなに僕を慕ってくれたことに僕は感無量になり、いつか僕に愛するものが出来たなら、あの童女のような者であったらいいなと思いながら、城へ戻った。
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