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第116話
次の日のレオナもいつもと同様に第三ボタンまで空いていた。
全く隠すということをしていなかった。
昼休みにサバナクロー寮の生徒がレオナの首筋が気になって、聞いてきた。
「寮長、あの。……どうしたんスかその首の」
「蚊にでもくわれたんだろ」
「でも歯型までありますけど……」
「あのクソ陰湿クソトカゲの嫌がらせ以外に何があるっつーんだよ」
「寮長今日の冗談も冴えてるッスね」
本当のことを言ったのにも関わらず冗談で済ませられるほど、レオナとマレウスは犬猿の仲だと思われてるらしかった。
ラギーはサバナクロー寮生の中で唯一関係を知っているので、内心冷や汗を掻いていた。
「レオナさん、いい加減にしてほしいッス。寮長の部屋が壁が厚くて本当に良かった……」
その光景を見ていたマレウスは苛ついていた。
レオナとマレウスの関係は、まさか肉体関係だと知らない寮生の冗談の種になっているのだ。
「よう、クソトカゲ。夜は散々噛み付いてくれたじゃねぇか」
苛ついてるマレウスに気付いたレオナはいつも通り挑発してきた。
「……そもやここまで関係を冗談だと思われているとは思わなかった。僕は今とても虫の居所が悪い」
「はっ、上等じゃねぇか。やるか、この野郎」
いつものように『表へ出ろ』と更に挑発するレオナにラギーは宥めた。
「レオナさんどうどう」
見ているだけだったリリアもマレウスを止めに入った。
「マレウス、おぬしもやめるのじゃ。レオナ、また後でじゃ」
こうして一発触発の危機を免れたわけだが、マレウス的には本当に不愉快で仕方がなかった。
「雷が今にも落ちそうな気配じゃのう」
リリアはマレウスの背中をぽんぽんと軽く叩いた。
「何故だ、……何故なのだろう。僕もキングスカラーも本当のことしか言ってないのにも関わらず、何故本気にとられないのだろう」
マレウスは落ち着きを取り戻しながら呟いた。
「『喧嘩するほど仲がいい』と人間のことわざもあることじゃ、おぬしが思っているよりももしかしたら本気にとってくれてる輩もいるかもしれないじゃろう?」
否、それはリリアの慰めだったのだが、マレウスは溜息を吐いて。
「ただ、僕はもっと自分の身を大事にするように言いたかっただけなんだ」
「おぬしも苦労するのう……」
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