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 身をかがめて、ゆるく勃ち上がりかけている白柳のものを口に含む。口淫には慣れているが、蘭はあえてぎごちなく舌を使った。つい腰が揺れてしまうのを、抑えられない。バスルームにいた頃から、欲望はじわじわと募っている。蕾はすっかり潤んで、今にもシーツを汚しそうな勢いだ。 「もう濡らしているのか?」  察知したらしく、白柳はからかうように言う。同時に、蘭の腰に手を滑らせた。 「シャワーの水滴じゃないだろう、これは?」  尻の狭間に指を()し入れられ、蘭は声にならない喘ぎを漏らした。 「ンッ……」 「しゃぶって、感じたのか? いやらしいな……」 「意地悪言わないでください」  蘭は口を離すと、潤んだ瞳で彼を見上げた。代わりに手で愛撫を続けるのを、忘れない。 「こんなことしてあげるの、白柳先生が初めてです……。我慢できなくなってしまって……。気持ち、良くないですか?」 「いや、悪くないよ」  白柳は、そっと蘭の手を離した。 「でもそろそろ、優の中に入りたいな……。それと、先生呼びは止めて」 「……じゃあ、陽介?」 「ああ」  順調順調、と蘭は心の中でうなずいた。あとは、『この次』を作ることだ……。 「優……」  白柳は、蘭をベッドに押し倒すと、くるりとうつ伏せにした。しばし背中にキスの雨を降らせてから、やおら腰をつかむ。高々と尻を掲げられて、蘭は本能的に身震いした。 「いくぞ」  白柳は鋒を押し当てたかと思うと、一気に押し入ってきた。凶器のようなそれに最奥まで貫かれ、蘭は思わず悲鳴を上げた。 「ああっ……」  場所が変わったせいか体勢のせいか、先ほどよりリアルに彼を感じる。蘭は無意識に、逃すまいとそれを締め上げていた。悲しいオメガの性だ。ひとたびヒートを起こせば、意志に反してアルファを求めてしまう……。 「あっ……、ああっ……」  白柳は、傲岸とも言える乱暴さで、蘭を蹂躙する。蘭の意識は、次第にぼうっとし始めた。腹の中は熱く、煮えたぎるようだ。普段、ヒートでここまで乱れたことはないというのに……。  白柳の雄が、ひときわ膨張する。その時蘭は、はっとした。無防備なうなじに、唇の感触を覚えたのだ。  ――まさか。  逃れようとしたが、遅かった。白柳の歯が、蘭の白い肌に深々と食い込んだ。 

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