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 動揺した拍子に、ついきつく吸い立ててしまう。それが刺激になったのか、陽介の雄が口内でひときわ膨張した。 「――んっ……!」  逃れる暇もなく、喉の奥に大量の迸りが注がれる。むせそうになりながらどうにか嚥下していると、陽介は頭を撫でてくれた。 「大丈夫か? すまない。出すつもりはなかったんだが……」 「……陽介が、変なことを言うからだろう」  息を整えながら、蘭は陽介をじろりと見た。 「俺はお前の番なんだから、離れるわけないだろうが。もちろん、浮気するわけもない。というか、しようがないだろ。苦しむのは、オメガの方なんだから……」 「そりゃ、そうだ。だから君を番にした。絶対に、他の奴に奪われたくなくてな……」  陽介は、蘭を胸に抱き込んだ。 「でも、俺が言っているのは、精神面も含めてだ。君が他の男に惹かれたり、心許したりすれば、俺は正気ではいられないだろう」  陽介の腕に、力がこもる。とんでもない奴を誘惑してしまったのではないか、と今さらながら蘭は思った。大体、結婚を承諾したのは、勝手に番にされた成り行き上のことだ。そこまで縛られる筋合いはない。とはいえ、反論するのは何だか恐ろしかった。どう返そうか迷っていると、陽介はパッと腕を放した。
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