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”
――でも、まさか関係ないよな。
悠は、大学時代に勲にレイプされて捨てられて、それっきりだ。第一、憎いはずの勲とコンタクトを取るはずがない。蘭は、一瞬浮かんだ考えを振り払った。
「怖い思いをさせて悪かった。今後父が来ても、二度と家に上げなくていい。ヒート中であろうがなかろうが、な」
陽介が、ぽんぽんと蘭の背中を叩く。気持ちはありがたいが、接触できなくなるのも困るな、と蘭は思った。かといって、さすがに陽介に真実を打ち明ける勇気はない。さっきは逆上していたが、父親を失脚させる計画を立てていたとなれば、黙ってはいないだろう。
「……なあ。勲先生に言ってたの、嘘だよな? 父親と思っていないとか、敵だとか」
取りあえず探りを入れようと、蘭は尋ねてみた。すると陽介は、間髪を容れず答えた。
「嘘じゃない。俺はあの男を、心底軽蔑している。はっきり言って、極悪人だ」
ストレートすぎる表現に、蘭は絶句した。
「何で、そこまで……」
すると陽介は、思いがけない台詞を吐いた。
「父はな、海を殺そうとしていたんだ。俺は、すんでの所でそれを救った」
「えっと、どういうこと?」
思考が、付いていかない。陽介は、そんな蘭をじっと見つめた。
「黙っていてすまなかった。海は、俺の子じゃない。父の子だ」
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