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「実は……」
蘭は、『日暮新聞』での一件を彼に打ち明けた。
「同じオメガとして、レイプ事件が闇に葬られたのは、我慢ならなかったんだ。……それに、言いにくいんだけど、勲先生の悪評は他にも聞いていた。だから、失脚させようと思ったんだ……。それで、お前に近づいた。勲先生の弱点をつかもうと思って」
さすがに悠の被害については、話すのははばかられた。だから曖昧な表現を使ったのだが、陽介は薄々察したらしい。黙ってうなずいた。
「でも、こんな風にお前に記事を差し止めさせたんじゃ、俺も同じ穴のムジナだな」
「それとこれとは違うだろう。父は真実を握りつぶしたが、海が俺の子だというのは、虚偽の情報だ」
陽介は、即座に否定した。蘭は、勇気を出して尋ねた。
「……怒らないんだな」
いや、と陽介はかぶりを振った。
「蘭のことだから、きっとそれなりの理由があるんだろうと思っていたよ。その通りだったな。正義感にあふれて……。これまで俺に近づいてきた連中とは、大違いだ。皆、私欲が目的だった。金やら地位やら……。まあそれはいい」
陽介は、蘭を正面から見つめた。
「君の目的が明確になって、助かった。それなら、共闘しよう」
「――は?」
蘭は、耳を疑った。
「一緒に、白柳勲を政界から追放しよう、と言ったんだ」
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