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 メッセ―ジを開封すると、長文がつづられていた。 『市川へ  勲の献金ネタを追うのは、もう止めることにする。実は、伊代さんから告白された。自分はもう永くない、短い間でも付き合ってほしいと言われた。そんな彼女をこれ以上利用するのは、心苦しい。  それから、赤ん坊の件は、本当に悪かった。あれをネタにすることはしないから、安心してくれ。母親は伊代さんだろう? 彼女をスキャンダルに巻き込むことは、したくないから。  正直、伊代さんの気持ちに応えられるかは、まだわからない。入社以来六年間も想い続けてきたお前を、すぐに吹っ切ることはできない。  でも、諦める努力はしないとな。陽介は相変わらずムカつくし、あいつの前では、ついああいう態度を取ってしまったが、引き際だってのは承知してる。  赤ん坊のことでは、お前と陽介にひどいことをしたから、今さら友達に戻ってくれ、なんて虫のいいことは言わない。でもいつか、許してくれる日が来たらと思っている。  せめてものお詫びとして、沢木薫子の資料を送っておく。彼女の出産について語った同級生の連絡先を書いておいたから、興味があれば調べるといい。  市川、幸せになれよ。もし陽介がお前を泣かしたら、俺がいつでも、あいつに復讐してやるからな。                                       稲本  P.S:俺の人生最高の日は、お前と赤ん坊を連れて、『オメガの会』へ行った日だ。フェイクでも短い間でも、お前と家族になれた気がした』  蘭は、しばらく文面から目を離せずにいた。ただ一つ言えるのは、六年間の友情が、いとも簡単に終わりを告げた、ということだった。

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