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『大正解』  悠が、げらげらと笑う。蘭は、ぎゅっと拳を握りしめた。 「いくら陽介を好きだからって……、よくも親友の俺に、そこまでできたな。マスコミに就職したのも、白柳勲を倒そうとしたのも、半分はお前のためだったっていうのに……」 『ああ、そういえば、張り切ってたよね。オメガのレイプ被害の記事を書くってさ』  悠はなぜか、くすりと笑った。 『残念だったねえ? 握りつぶされて。確か、××建設の社長が起こした事件だったよね』  蘭は、眉をひそめた。いくら親友だからといって、さすがにそんな具体的な内容は話していないというのに……。 「何で知ってる?」  すると悠は、とんでもないことを告げた。 『知ってるも、何も。こういう記事が出るそうですよって情報を勲先生に流したのは、僕だからさ』 「――何だって!?」  蘭は、耳を疑った。 『うちの居酒屋に、『日暮新聞』の社会部の人が来たんだよね。酒に酔って、べらべら喋ったんだよ。オメガの新人記者が、今度こんな記事を出すんだって。社会部の新人記者でオメガって、蘭のことだなって、ピンときた。正直、蘭にはムカついてたからさあ。自分一人、一流企業に入って。だからその情報、漏らしてやった。さすが勲先生、見事もみ消してくれたね』 「馬鹿野郎!」  蘭は怒鳴った。 「オメガのレイプ被害を、世間に知らしめるチャンスだったってのに! お前は、同じオメガのくせに、それを邪魔したってのかよ!」 『関係ない』  悠の声は、ぞっとするほど冷たかった。 『むしろ、万々歳かな。不幸なオメガが世の中に増えた方が。だってそうでしょ? 何で僕だけが、苦労しなきゃなんないのさ』  蘭は、愕然とした。  ――悠の奴、そこまで歪んでたのか……?

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