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”
「お前の性根が腐ってるのは、よくわかった。実は、俺を嫌ってたってのも」
怒りを抑えて、蘭は冷静に告げた。
「でも、一つ教えてくれ。勲とつるんでる社長を救ったり、俺の勲打倒計画を邪魔したり。それは全部、勲を利することになるんだぞ? どうしてそんな真似をした?」
悠は、簡潔に答えた。
『利するためじゃないか』
「――は? お前、何言って……」
『蘭は、大きな思い違いをしてるよ。僕が勲先生を恨んでるってこと自体が、そもそも誤解だから』
信じられなかった。勲は、悠をレイプした張本人ではないか。すると悠は、補足するように言った。
『無理やり犯されたけれど、僕は勲先生のこと、好きだったんだ。そして、今もね……。蘭、ご苦労だったよね。僕のために、復讐を企てるなんてさ』
――俺の今までの計画は、一体何だったんだろう。
蘭は、完全に言葉を失った。悠は、満足げな笑みを浮かべると、まだ眠り続けている陽介をチラと見やった。
『勲先生をゲットすることはできなかったけど、その息子を手に入れることができて、嬉しいよ。……陽介って、本当にあの人の若い頃にそっくりだよね』
「この……!」
その時、画面に映った陽介の体が、ぴくりと動いた。起こすのを恐れたのだろう。電話は、唐突に切れた。
「悠! おい……」
再度かけ直すも、すでに電源は切られていた。悠の携帯も同じだ。畜生、と蘭は地団駄を踏んだ。陽介が悠を選んだとは、信じたくない。でも、部屋に入れたのは事実だ。
――誘惑されたのか? 俺との時みたいに。そして、誘いに乗った……?
蘭は、即座に寝室に飛び込んだ。
「海! 喜べ。今から小旅行だぞ!」
自分を鼓舞するために、あえて陽気な声を出す。何も知らない海は、ほやほやと笑った。
――今から、大阪へ乗り込んでやる。指をくわえて、見ていられるか……。
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