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”
二十分後。陽介と蘭は、バスルームにいた。
「拘束プレイは嫌いじゃないが。まさか、俺が縛られる側になるとはな」
両手首をボディタオルで拘束された陽介が、ため息交じりにつぶやく。タオルの端は、シャワーフックにしっかりとくくりつけられている。蘭は陽介の前に立って、念入りに体を洗ってやっていた。何らかの痕跡がないかのチェックも、当然兼ねている。
「一応聞くが、君はここがビューバスとわかっているんだろうな?」
陽介は、窓をチラと見やった。このバスルームからは、都心の夜景が一望できるのである。最上階とはいえ、似たようなマンションは周囲にもある。のぞかれないという保証はない。蘭は、くすりと笑った。
「浮気疑惑の次は、変態の疑惑がかけられるかもな。まあいんじゃね? 変態の方は、事実だ」
「俺の本意じゃないぞ。今日は君への詫びとして、付き合ってやっているだけだ……。どうだ、もう十分だろう?」
解いてくれ、と陽介が手首を揺らす。ダーメ、と蘭はかぶりを振った。
「徹底的に、消毒と検査をしないといけないからな……。ふむ、前面はOK、と」
丹念に調べたが、首筋にも胸にも、怪しい痕は見当たらなかった。
――だからといって、ヤってないって証明にはならないけど……。
頭上からは、陽介の熱っぽい視線を感じる。そして目の前の彼の欲望は、すでに十分な硬度を持って反り返っていた。欲情しているのは、明らかだ。だが蘭は、あえてその部分には触れずに、陽介の体をくるりと反転させた。
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