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”
「まだ続くのか?」
陽介が、悲壮な声を上げる。
「当然。まだ後ろ側をやってないだろ」
素早く点検したところ、背中側にも異常は見られない。だが蘭は、あえて何も言わずに、ボディソープを泡立てた。ことさらにゆっくりと、陽介の肌に広げていく。チラと見れば、陽介は完全に勃起していた。蘭はにやりと笑うと、さりげなく体を密着させた。ぴくり、と陽介に反応が見られる。
「蘭……」
「何?」
耳元で、息を吹きかけるように囁く。陽介は、苦しげにうったえた。
「いい加減、ほどいてくれ。君に触れたい」
「ダメだって。まだ終わってない」
言いながら蘭は、陽介の脚に、自らの脚を絡めた。裸の肌が触れ合う感触が、心地好い。すると、ついにしびれを切らしたのか、陽介がわめいた。
「――蘭!」
同時に、ブツッという音がした。
――まさか。
ぎょっとして見上げれば、陽介を縛めていたボディタオルが、はらはらと落ちてきた。陽介が、渾身の力で引きちぎったのだ。
「よくも、焦らしてくれたな。たっぷり、お返ししてやる」
自由の身になった陽介が、不敵に微笑む。そのまま蘭は、あっという間に壁に押し付けられた。
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