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「――はぁっ……、ああっ……」  一拍遅れて、蘭の内部に熱いものが放たれる。蘭は、必死に陽介の首につかまりながら、その感覚を味わっていた。  ――幸せ、だ……。  だが、感慨に浸っていたのも束の間だった。陽介は、蘭を抱えたまま、体勢を立て直したのだ。早くも彼が復活しつつある気配に、蘭はぎょっとした。 「おいっ……、もうかよ……?」 「当たり前だ。搾り取ってくれるんだろう?」 「ちょっ……、待て!」  蘭は、あわてて窓を見やった。さっきはつい流されてしまったが、冷静さが戻ると、急に恥ずかしくなってきたのだ。 「気になるか?」  陽介が、おかしそうに笑う。 「見られた方が、都合が良いんじゃないのか? 白柳陽介は、本物の妻と愛し合っている……」 「馬鹿言え」  蘭は、身をよじって抵抗を示した。 「やっぱり、ここでは嫌だ」 「じゃあ、こうしよう。これなら、見られる危険は減る」  陽介は、蘭をそっと床に降ろすと、覆いかぶさってきた。暖房を導入した床に冷たさはなく、むしろ心地好いくらいだ。それにしたところで、寝室に行くという選択肢はないのだろうか、と蘭は呆れた。 「蘭、愛してる」  陽介が、愛おしげに囁く。蘭を貫いたままの楔は、一度精を放ったとは思えないほどの勢いで、激しく脈打っている。仕方ない、と蘭は覚悟を決めた。 「俺も愛してる」  陽介の頭を引き寄せて軽くキスすれば、彼は嬉しげに微笑んだ。ゆっくりと、陽介が動き始める。明るい照明に照らし出された浴室の床で、二人は果てしなく、互いを貪り合ったのだった。

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