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『相沢悠とは、『離婚』する』
あの会見の後、陽介は蘭に宣言した。
『俺は、相沢がヒートの時に、奴をホテルにおびき出す。同時に父を、相沢の名前で呼び出す。『身代わりの件でトラブルが起きた、相談したい』とでも理由を付ければいい。ヒート中のオメガに目がない父のことだ。九十九パーセント、相沢に手を出すに決まっている。君は部屋に隠れて、二人の情事を撮影して欲しい』
陽介は、こともなげに言った。
『その動画が公になれば、相沢は、『新婚』早々不倫した妻だ。俺は奴と、スムースに『離婚』できる。そして父は、息子の嫁に手を出した、鬼畜舅だ。二人まとめて復讐できる』
陽介は自信満々だが、蘭は戸惑った。
『レイプさせんのか? それはダメだ。いくら悠がひどい奴でも、それだけはできない。それに悠は、昔勲先生にレイプされたんだ。また繰り返させるのかよ?』
蘭は強硬に反対したが、陽介は譲らなかった。
『奴がしたことを忘れたのか? 向こうだって、君がヒートの時、父に襲わせようとしたじゃないか。同じ事をやり返すだけだ。俺に対しても、眠らせて事に及ぼうとした。あれだって、逆レイプみたいなものだ。それに相沢は、父を好きなんだろう? そんなに罪悪感を感じることはない』
『それにしたって……。ネットに流すなんて。ホテルでの密会写真を撮るくらいにしておかないか?』
蘭は提案してみたが、陽介は非情にも却下した。
『ダメだ。父のことだ、上手く誤魔化すに決まってる。……それに、あえて動画をばらまくのには、理由があるんだ。……とにかく、生き残るためには、俺たちはこうするしかない。蘭、政治の世界は、食うか食われるかなんだ』
『……わかった』
ついに蘭は折れた。
『でも、悠のヒートを利用するのだけは止めてくれ。どうしてもというなら、発情誘発剤を使えばいい。あれなら、妊娠の危険はないから。……悠は昔、勲先生に妊娠させられたんだ。それだけは繰り返したくない。陽介、お願いだ……』
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