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”
駐車場では、陽介が車内で待機していた。
「上手くいったようだな。特に合図もないから、順調なのかと思っていたが……」
蘭が車に乗り込むと、陽介は言った。勲や悠に気づかれるなどのトラブルがあれば、合図で陽介が飛んでくる手はずになっていたのだ。
「ああ。観てみるか?」
蘭は、陽介にカメラを手渡した。ざっと内容を確認すると、彼は大きくうなずいた。
「ばっちり撮れているな。おまけに、父が好きだと、相沢ははっきり言っている。この会話は使えるぞ」
蘭は、陰鬱な気分になるのを抑えられなかった。
「本当に、これをネットに流すのか?」
「何度も言わせるな」
陽介は、やや苛立たしげに答えた。
「目的さえ達成すれば、速やかに削除するし、それ以上出回らないように対策するから。……まあ俺としては、放っておいてもいいくらいだと思うが。相沢が君にしたことを思えば、それくらいの目に遭って当然だ……。でも、蘭が嫌だと言うなら約束する。責任を持って、削除するから」
「頼むよ。……それから悠は、あのまま放っておくの?」
「誘発剤の効果が切れたら、自然に目覚めるだろ。ただ眠くなるだけで、危険性はないし。部屋は偽名で、今夜一泊押さえてある。何も心配することはない」
陽介は、きっぱりと言い切ると、車を発進させたのだった。
三十分後、二人は都内のとあるマンションに到着した。
「よう、無事終わったか?」
二人を出迎えたのは、稲本だ。ここは彼が、伊代の最期を看取るために用意した家なのである。
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