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 その翌日、白柳陽介宅のリビングは、大勢の人間でにぎわっていた。蘭と陽介、海、悠、見知らぬ五人のオメガたち。そして蘭たちの前には、期待に目を輝かせている中年男が座っていた。某大手週刊誌の記者である。 「このたびは、週刊○○の独占取材に応じていただき、ありがとうございます」  インタビュアーは、興味津々といった表情で、悠を見つめた。いよいよだ、と蘭は緊張が走るのを感じた。 「渦中の白柳陽介先生の奥様が、例の動画の真相について語ってくださるとか。意外な背景があると、うかがっておりますが?」  はい、と悠が神妙に答える。 「実は僕は、元々勲先生の愛人でした」  ほう、とインタビュアーが身を乗り出す。 「では、義理のお父様である勲先生とは、陽介先生と結婚される前からの関係であった、と?」 「そうです」  悠が、きっぱりと肯定する。 「でも僕たちの仲は、世間に知られそうになりました。そこで勲先生は、それをカムフラージュするため、陽介先生に僕を押し付けたんです。陽介先生には、長いお付き合いのオメガ男性がいらっしゃったというのに……」  悠はそこで、蘭を指した。 「この方です。お二人は番で、将来を誓い合った仲です。間には、お子さんもいらっしゃるんですよ」  悠は今度は、ベビーベッドに寝ている海を指し示した。インタビュアーは、蘭と海を見比べて、呆れたようにうなった。

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