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「全員ですか!?」   インタビュアーは、目をむいた。 「では、せっかくですから、お一人ずつお話をうかがいましょうか……」  五人はそれぞれ、勲とのエピソードを語った。共通しているのは、力関係を利用されたりレイプされたりと、無理やり愛人にさせられたことだった。手ひどく捨てられたのも同じだ。皆、時に涙ながらに勲の仕打ちをうったえた。蘭は、聞いていて胸がつまった。  話は、数時間に及んだ。最後に、陽介、蘭、海の三人の家族写真を撮って、ようやく取材は終了した。  インタビュアーとオメガたちが帰っていくと、陽介は悠をじろりと見た。 「よくやったな。名演技だったぞ」 「他に方法がないからでしょ。どういうわけか流出してしまいました、なんてよく言えましたね」  悠は、陽介をにらみ返した。 「これで、動画は消してくれるんですね?」 「ああ。ちゃんとやる」  陽介はうなずくと、こんなことを言い出した。 「ところで相沢、君は当面、身の安全を確保する必要がある」 「言われなくてもわかってますよ。個人情報漏れまくりなんですから」  悠が、口を尖らせる。だが陽介は、深刻にかぶりを振った。 「そういう意味じゃない。さっきの週刊誌は、与党批判が大好きだ。さぞやでかい記事を書き立てることだろう。そうなったら、父は黙っちゃいない。報復と口封じのため、君を消そうとするかもしれない」  蘭は、ぞくりと背筋が寒くなった。悠もさすがに青ざめた。 「――そんな。どうすれば……」

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