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「本当に、ゴメンね」  悠が、申し訳なさそうに頭を下げる。もういいよ、と蘭は言った。むしろ、わだかまりが解けて、何だかすっきりした気分だ。 「結局、何もなかったんだし……。それにこっちだって、お前の動画を流した。もうチャラにしようぜ」 「いいの?」  悠が、パッと顔を輝かせる。 「ああ。……でも、一つ確認。お前、陽介の体をあちこち弄ったって言ったよな?」   悠の笑みは、固まった。 「それは、まあ……、はい。あの、蘭、やっぱり怒ってる?」 「まあな」  蘭は、重々しくうなずいた。 「ええと……、どうすれば、許してもらえる?」 「そうだなあ」  少し間を持たせてから、蘭はにっこり笑った。 「俺に、トンカツの作り方を教えろ」 「は? それだけでいいの?」  悠は、拍子抜けしたような顔をした。 「ああ、それで帳消しにしてやる。……あ、でも卵は、結局どうなったんだっけ?」 「それなら無事だよ!」  悠が、得意げに卵のパックを取り出す。あれだけの騒ぎの中でも、死守したらしい。卵にはヒビ一つ入っていなくて、蘭は驚くより呆れた。 「お前って……。まあいいや、早速作るか」 「うん!」  二人して、準備を始める。子供の頃を思い出して、蘭は何だか楽しくなってきた。下処理していると、陽介から電話がかかってきた。

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