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”
拘置所での面会を終えた蘭は、産科に回った。さぼっていた健診を終え、次に向かった先は、養父母の家だ。海を預かってもらっていたのである。
「母さん、ごめん」
息せき切って迎えに現れた蘭を、養母はにこやかに迎え出た。
「いいわよ、このくらい。どう、経過は順調?」
うん、と答えながらも、蘭はやや罪悪感を覚えた。彼女には、健診に行くことしか伝えていないのだ。実母に会い、実父について尋ねる話をするのは、やはりはばかられた。
「忙しいのに、悪かったね。ちゃんと、保育園は探すつもりだから」
「いいって言うのに。保育園なんて必要ないでしょう。健診の間くらい、預かってあげるわよ」
「健診だけじゃなくて。俺、また働きたいと思ってるから」
そう告げると、養母はあきれ顔をした。
「ええ? 無理しない方がいいわよ。初めての出産だけでも大変なのに、海君の世話だってあるんだから」
「でも……。勲先生への返済もあるし」
「そんなこと、蘭は気にしなくていいの。あれはうちの借金なんだから」
養母はきっぱりと言うと、ふと笑顔になった。
「そうそう、大ニュースよ」
何と、養父母の実子の所にも、子供ができたのだという。同じくらいの時期に生まれるはずだ、と彼女は興奮して語った。
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