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ありがとう、と蘭は微笑んだ。
「お前がいてくれれば、不安なことなんて何もない。陽介、ずっと一緒にいような」
ああ、と微笑み返した後、陽介はふと真顔になった。
「でも、稲本にノウハウを教わる時は、俺も同席させろよ?」
「……何だよ。またやきもちかよ」
蘭は脱力した。
「当然だろう。さっきの出産祝いにしたところで、君の好みを熟知しているなと思ったよ。ずっと、一緒に働いてきたんだものな。さぞかし、俺の知らない君の一面を知って……」
「あー、もう、うるさい! それ以上言ったら、当分お触り禁止だぞ!」
蘭は、布団に潜り込むと、くるりと陽介に背を向けた。
「いや、それは困る」
陽介は、焦ったようにベッドの反対側に回り込むと、蘭の顔のそばにひざまずいた。
「パァパ」
海が、きょとんとした様子で陽介の袖を引っ張る。陽介は、海を抱き上げると、ベッドの端に腰かけた。不安そうに、蘭の顔をのぞきこむ。
「あの、蘭……? 本当に、怒ったのか?」
蘭は、ぷっと吹き出した。
「冗談だって。そういう嫉妬深いところも含めて、俺はお前が好きなんだから……」
言いながら蘭は、再び体を起こすと、陽介をじっと見つめた。
「陽介、愛してる」
陽介は、目を見張った。
「珍しいな、君から愛してるなんて言ってくれるなんて……。俺も、愛してるよ」
「アイイテル!」
突如、海がすっとんきょうな声を上げる。蘭は苦笑した。
「この言葉、覚えちまいそうだな。なんせ、お前がしょっちゅう俺に言うから」
「いいじゃないか。幸せな家庭の象徴だ」
陽介が、すまして告げる。彼は、片腕で海を抱きながら、もう片方の腕で蘭を抱き寄せてきた。陽介の温もりに浸りながら、蘭は双子が眠るベッドを見つめた。
――陽介と一緒なら、どんなことでも乗り越えられる。俺たち家族の未来は、希望に満ちてるよ。この子たちの名前が象徴するようにな……。
了
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