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第7話
ーーどういうこと?色々試したいって何?先輩は俺に隠れて何してるの?
カナトは柱にもたれかかり、その場にずるずるとしゃがみ込む。頭がぐるぐるして、気分が悪い。
ーー俺の事飽きちゃった?どうして?俺といるのが退屈なの?
ーー俺、捨てられる?
ーー先輩は俺のものなのに、誰にも触って欲しくないのに。
取り止めのない考えが泡沫のように浮かび、消えていく。
「ん? カナト? こんな所でどうしたんだ。大丈夫か? 」
声に気がついて、カナトが顔を上げるとアキラが心配そうにこちらを見ている。
だが、カナトにはアキラが本当に心配しているのか、わからなかった。
「もしかして探してたのか。ごめんな。ちょっと用事があって」
弁明するアキラを見て、カナトは胸が苦しくなる。
ーー用事って何?俺に黙って女と会うこと?
「……俺、先輩のこと、わかんなくなっちゃった」
カナトはふらりと立ち上がる。アキラは慌てて、そのままどこかへ行こうとするカナトの腕を引いて引き止める。
カナトは腕を引かれて、立ち止まったものの、俯いたままで表情は見えない。
「先輩は俺のこと、どうしたいの」
「カナト? 」
「俺は先輩にとっての何? 」
「もしかして、さっきの聞いてたのか? あれは…」
カナトは顔を上げて、アキラの方をじっと見る。
焦ってひどく動揺している顔が見えて、スッと気持ちが冷えていくのがわかった。
「女とのやりとり見られて焦ってんの? 俺が怒るかもって? はぁ……もういいよ。色々考えるの面倒くさい。先輩、別れよ」
「カナト! 話を……! 」
アキラが腕を強く引くと、カナトの呆れたような、蔑むような冷たい目と視線が合う。
「手ぇ、離せよ。もうお前なんて俺の物じゃない」
「違う、誤解だ。俺は…」
「二度と顔見せんな。今度はぶん殴るぞ」
そう吐き捨ててカナトは力づくで腕を振り解いて、元来た道を歩き出す。
怒りを纏い、歩き出したカナトが遠ざかるのを見て、アキラは口角を上げる。笑い出してしまいそうになるのを手で覆って隠す。
「しっかり勘違いしているな、これはこれで面白い状況になりそうだ」
ーーそろそろ探しに来るとは思っていたが、偶然このタイミングで鉢合わせるなんて、こんな状況、作ろうと思っても作れるものじゃない。
まさに神の采配だ。
これは躾を兼ねた実験ができそうだな。
身も心も依存しきったお前が俺なしで一体どうするのか、じっくり観察させてもらうよ。
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