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第12話※
ぐちゅ、ぐちゅと湿った水音と途切れ途切れの嬌声が部屋に響く。
「あっ……あ、も、せんぱ、い……っ」
カナトが堪えるように息を吐きながら、甘い声でアキラを呼ぶ。
「なんだ? 」
「も、それ……やっ、やめ、て……あっ! またイく、イくっ……あああっ! 」
一際大きな嬌声を上げて、カナトは数度体を震わせた後、ぐったりと体の力を抜く。
「それ、ってなんの事だ、カナト」
うっすらと笑みを浮かべながら、アキラはとんとんと内側のぷっくりと腫れたしこりを押す。
アキラがカナトの後ろを解し始めて、すでに一時間ほど。
後ろに指を挿れて、抜き差ししながら体中にキスの雨を降らせて、カナトの体はすべて自分の物だという所有の証を刻む。
ローションを継ぎ足しながら、アキラは徐々に挿入する指の本数を増やしていく。
もっとも、すでに充分に解しているので、今のこれはアキラの、カナトの痴態がみたいという遊びの一環にすぎない。
アキラは着衣を乱さず、対するカナトは何も着ていない。一方的に与えられる気持ちよさとともに、自分だけが乱されている事に、カナトは一抹の不安と苛立ちを感じていた。
「は、はぅ……う……も、触らないで、出ない、から」
「そうだな」
何度も精を吐き出した為に、先程の吐精も色の薄い精液が少し出ただけだ。それでもアキラは執拗に中を解す。
しこりを押したかと思えば、指を抜いて入り口の周りを広げるようになぞる。
じわじわとした快楽がずっと体に渦巻いて、それでも決定的な快楽に繋がらず、カナトはとろ火で炙られているような気分だった。
――いい加減に早く挿れて、指では届かない奥まで突いて欲しい。
そんな溜まりに溜まった苛立ち混じりの感情は、ついにカナトに口を開かせる。
「……もう、しつこいって! わかってんなら、やめろ」
「……やめろ? 」
突然、アキラの指がずるりと抜かれる。今まで中で蠢いていた指がなくなった喪失感に、カナトはぶるりと体を震わせた。
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