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第10話
そうやって雪に全てをされるのが当たり前になって数年が経ったある日、俺の鼓動がドクンと高鳴った。その特別な鼓動に口が無意識に愛しく懐かしい名を呼ぶ。
「あ…夕…っ!」
言ってからすぐにしまったと両手で口を塞ぎ隣を見ると、先程まで俺を泣かせ続けた雪がすやすやと眠っているのを確認して、ほっと胸を撫で下ろした。
夕が来ている。
そのいつもの合図に、雪を起こすことのないようにそっと身体を起こして静かにベッドから降りようとした。
「…どこへ行くんですか?」
隣から腕が伸び、俺の腰を掴むとベッドに引き戻された。
敬語に甘い声。
雪に色々と調教された俺の警戒音がMAXでけたたましく脳内に鳴り響いた。いやでもビクンと身体が跳ね、顔が青ざめる。
「夕…って言いましたよね?」
「聞こえていたのかよっ!?だったら、離せっ!」
腰に回された手を両手で剥がそうとするが、力の差は歴然でびくともしない。
「夕が来ているんだ!外に!!離してくれよ!雪!!」
「はいって、言うと思う?行っていいよって、夕のところにどうぞって、俺が言うと思ってるの?」
例のにまぁとした笑顔を見せられ、身体中が恐怖で震える。
「でもっ…夕がっ…あ…やだっ…雪…ぃ…やっ!ぁあああっ!!」
ぐるんとうつ伏せにされて、愛撫も準備もなくいきなり雪のモノが俺の中を無理矢理にこじ開け、ギチギチと言う音と共に、腰を突き動かす。
「やっ…めろっ!雪…くぅっ!」
ベッドの端を掴み、雪の下からもがき這い出ようとするが、腰を掴まれて動けない。そのままぐいっと雪が俺の体と共に上半身を起こすと、俺の体重でズンという衝動と共に雪のモノが今までよりも奥を突く。その格好のままで雪が体の向きを変えたと同時に扉が開いて、俺は一番見られたくない格好を一番見られたくないやつに全て晒す形となった。
「宵っ!?」
夕の声がいつもなら呼ばれて嬉しい俺の名を絶望に突き落とすように呼んだ。
「夕…みな…いで…っぁあああああ!」
「夕様…ですよね?このような格好にて失礼いたします。俺が今代の当主の雪です。あなたが来るのがあ・ま・り・に、遅かったので、俺が宵を…宵様を慰めて差し上げておりました…できれば扉を閉めていただけますか?それとも、俺が宵を気持ちよくさせるところを、このまま見ていかれますか?」
「……っ!!」
雪の言葉に夕の顔が真っ赤になり、バタンと大きな音を出して扉を閉めた。
「ゆ…う…夕っ!!!」
閉まった扉に向かって大声で呼びかけるが反応はない。しかし、家から出て行った様子も、むしろ扉から離れて行ったような音も聞こえず、夕が扉の前にいるのではと推測された。
「ゆ…っ!!」
再び夕の名を呼ぼうとした俺の口を雪の口が塞ぐ。
「やめろ…はあ…雪ぃ…ああっ!許しっ…やだあああああああ!!!」
雪が俺を抱いたままで無言で立ち上がると、夕が向こう側にいるであろう扉に俺の背中をドンと押し付け、肩に俺の片足を乗っけると先ほどよりももっと奥を雪のものにこじ開けられた俺が我慢出来ずに大声で叫んだ。
「深いっ!!雪の…深…くて、裂けそう…やめ…ろ…ゆきぃいいいいいい!!」
最後は扉が壊れるかと思うくらいに雪が腰を激しく動かし、俺はそこに夕がいることも忘れて声を張り上げ、絶叫と共に雪に体と意識を放り投げた。
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