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第36話

「さぁ、食事の時間だよ。今日はちょっと暑いからね、久しぶりに冷たいスープにしてみたよ。」 そう言って、微笑みながら雪が部屋に入ってくる。 また繰り返される。 俺と雪の日常。 一体、いつから続いているんだろう? あまりにもそれは長すぎて、思い出すこともできない。 そして… 「なぁ、この物語って終わりが来るのかな?」 「俺と宵の?」 「そう、俺たちの御伽噺。」 ふふふと笑って、雪がテーブルにスープの入ったカップを置くと、ベッドにぎしっと音を立てて座った。 「宵は終わらせたいの?」 「分からない。もう今がいつなのか…俺は一体何百年、こうしているのか…何も分からない。終わらせたいのか続けたいのか…そもそも俺はなんでここにいるのかさえ、分からない…」 「そうだね。じゃあ、しばらく別々に暮らしてみる?俺はここで、宵は…むかぁし、二人で暮らしていたあの家で。今も俺がちゃんとしているから、いつでも暮らせるよ…それに、ちょうどいい召使いもいるし…どうする?」 雪から離れて暮らす? 離れて…それもしばらくはいいかもしれない。 色々と考え、自分を取り戻せるかもしれない。 「じゃあ、そうする。」 こくんと頷いた俺に分かったと言うと、雪は静かに立ち上がってスープを手に部屋から出て行った。 その後ろ姿が寂しそうで、 やっぱり悪かったかな? そう、少し後悔をした。 しかし、そんな俺の気持ちとは裏腹に、雪の顔にはにまぁとした笑いが浮かんでいたのを俺は気付きもしなかった。

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