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紫陽花(2)
平日の午前は家事が終わると暇になる。
守弥も時雨も大学に行っている時間だし、参拝者も少なく、社務所も手が足りている。
洗濯物をたたみ終えて手持ち無沙汰になった咲良は、縁側までほてほてと歩いてきた。
手には半紙と筆ペンを持っている。
なんとなしに空を見る。
吹いてくる風は仄かに雨の香りがした。
さわさわ…。
…さわさわ…。
縁側に座り、目を閉じて風の音に耳をすませる。
ひとん。
雨が一粒泉に落ちた。
…ひとん…。
ひとん。
さわさわ…。
ひとん。
さわわわ…。
風の音と小雨の音。
小鳥の声。
「………」
頭の中に出来たイメージを半紙に描いていく。
「……頭の中のものを絵にすると言うのは、なんとも難しいものですね…」
絵に出来ない部分は、箇条書きにしてみる。
「………」
暫し思案してから、咲良は厨房へと歩いていった。
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