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欲求不満な残念勇者⑵

その後も何度か死にかけた。 その度にプロポーズしたが幼馴染は絶対にうんとは言わなかった。 けんもほろろに断られたうえ、またもや魔物に犯られたくないから死ぬなと脅され、そんなことじゃ魔王は倒せんと説教された。 俺たちの話に魔王は関係ないだろーが! 俺は段々とやさぐれていった。 「ピギャー、俺様は魔王様の第五の使徒、プライスラ「死ねええぇい」プギャー!」 バッサー。コンコルドキメラは袈裟懸けに切られた。 「ブモモモモ、俺はオークの中のオーク、ダイモス「丸焼きにすっぞゴルァ」ブヒィィ!」 ゴオオオオォ。オークキングは灼熱の劫火で文字通り丸焦げにされた。 ハァハァハァ。 うがぁ、イライラが解消されねえぇ! 何で振られてるのに一緒に旅しなきゃならんのだ! 好きじゃないならビビりのくせに何でついてきて俺の世話を焼いてんだ。何でお宝級の高級品使って必死に治療してるんだよ。訳が分かんねぇよ。 魔王を倒せばいいのか?そうしたら惚れてくれるのか? だがその時は旅の終わりだ。お前は村に帰ると言い出すだろう。 ……もう振られてるんだ。どうせ離れていくのなら、魔王を倒したあとで、お前が俺から離れる前に…… 犯してやる。 グッチョングッチョンのドンロドロ、ヘロッヘロになるまで犯して快楽漬けにして俺なしじゃ生きていけないようにして、どさくさに紛れて結婚届にサインさせてやる!後で何を言われても知るもんか、お前を失うよりずっといい。 「……フフ、フフフフフ。ウワーッハッハッハッ!」 ビクゥ! 奴が俺のいきなりの笑い声にビビッていたが、それすらもか弱い生け贄の怯えに見える。愛い奴め。 「勇者さま、この度は恐ろしい化け物を退治してくださってありがとうございます。お礼に街一番の美女に夜伽をさせましょう。一晩ゆっくりとお楽しみください」 「いや、それは結構。この旅が終われば、私は大事な者をグッチョングッチョンのでろでろになるまで抱き尽くす気でいるから間に合っている」 「さ、さようでございますか。……いやあ仲が良ろしくて羨ましい限りですな。そのお方はお幸せでございますな。ははは」 「そうだろう、俺に愛されて幸せ者だよな。力は強いし顔も精悍、何より魔王を倒す勇者だからな!」 もっとこいつにアピれ!お得感を感じさせろ! 犯られて無理やり結婚させられても「ま、いっか(ハート)」で済むように好感度を上げておかねばな。その為の努力は惜しまん! 「………」 「………」 街の代表の口が引きつっているのも幼馴染が死んだ魚の目になっているのも気のせいだ。

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