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欲求不満な残念勇者⑶
その後の旅は恐ろしいほど順調に進んだ。何事も開き直りは大切だな。
「やあやあ我こそは「ウラァァ」ココーン」
偽狐は化けの皮を剥されて逃げて行った。
「私は魔王様直属の師団長、漆黒のデュエ「ドリャアァウリャア」ブシャー、ギャー」
黒龍は首を落とされ乗っていた魔族は真横切り。
コツは先手必勝、汚かろうが何だろうが構わん、さっさ終わらせて俺にこの幼馴染を犯らせろ!
大事なのでもう一回言う。
俺に、こいつを
犯、ら、せ、ろー!!
フーッ、フーッ。
尋常ならない鼻息と迫力に気圧され、魔界の森の生き物が木の陰に隠れている。
俺の後ろには幼馴染が硬い表情でついてきているが、怯えた様子はない。
怯えても引きずって連れて行くがな。ここまできて逃がすか。折角だから俺の勇姿をその目に焼き付けとけ!
死屍累々の魔物の屍を越えてついに着いたぞ魔王城。
「おい」
後ろから声がする。
「ついに来てしまったぞ……お前、大丈夫か?」
「何がだ」
「魔王が恐ろしくないのか」
「魔王と会うよりもお前に振られたことの方がショックがでかい」
「そ、そうか……。そんなに、俺の事……」
おっ、意識してる?脈アリか!?
「……俺は怖いよ。魔王は強い。何度挑んでも勝てやしねえ。またお前を失って独りになるのかと思ったら怖くて怖くて……」
「オイ、ソコノ」
「……また?」
「詳しくは終わったら話す。今回ホントに魔王が倒せて、俺もお前も無事だったら……」
「オイ、ソコノ人間ドモ」
「何だよ気になるじゃねーか、今話せよ。それよりお前やっぱり俺の事好きなんだろ、なあ、なあ結婚しようぜ!」
「断る!」
「何で断るんだよチクショー!!!」
「オイ、オレノ城デサワガシ」
「うるせー!!今取り込み中なんだよ邪魔すんな、叩き切るぞ!!」
「オ、オウ、スマン、イヤ、シカシ」
「え、いやお前、後ろのそれ」
「なあ、どうやったら俺のモンになってくれんのお願いだよ」
「だから無理だってば」
「何でだってば!もうマジで犯す。マジだぞ。嫌ならうんと言え」
「!! 酷い……俺が、どんな思いで……」
奴は泣きそうな顔になった。俺の方が泣きたいわ……
「もう知らん!お前の嫁なんて絶対なってやんねー!」
ガーン……
ハンマーで頭を叩かれたような衝撃。
「オマエラ、チガウトコロデヤッ」
「……さっきからうるせー……邪魔すんな、どっか行け!!!」
究極奥義!!
ホーリーソード ギガスラッシュ!
アルティメットメテオ ストラック バッターアウッ!!
俺は最大級魔法をぶっ放し、さっきから煩かった魔物に八つ当たりをした。
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