27 / 37

第27話

カウンター席に戻ると、依冬の背中を撫でながらいつの間にか一人きりになったヒロさんに言った。 「今日は外国人のお客さん来なかったね?」 「そうだね~…ふふっ!あぁ、楓のステージが始まるよ!僕は…あっちに行って…チップを渡して来るね!」 あ~あ… 「ヒロさんは楓にゾッコンなんだ。イギリスに恋人がいるのに…!」 そう言って頬を膨らませると依冬に言った。 「依冬は単身赴任したら現地妻を作るタイプ?」 彼はクスクス笑うと、オレの鼻をチョンと叩いて言った。 「しな~い!俺はね、妻は、シロひとりだけで良い~!」 随分…ご機嫌じゃないか… 「酔っぱらった?車で来た?」 彼の顔を覗き込んでそう尋ねると、依冬はへらへら笑って言った。 「まるで…水の中で泳いでるみたいだったんだ…周りのお客さんが…圧倒されていくのが空気で伝わって来た…。マスター?俺はこんな素敵な人、お嫁さんに貰っちゃって良いのかなぁ?」 マスターは怪訝な顔をすると、お水を依冬の目の前に出して言った。 「…もう、結婚してるけどね…」 「いやあ!俺は頑張って稼いで、どん吉とシロ子を幸せにするんだよ。」 シロ子…!?ウケる… マスターが肩を震わせて笑いを堪えてるのを視界の隅に捉えると、桜二に電話した。 「もしもし…桜二?依冬が酔っ払っちゃった。お迎え来てよ…」 「シロ子?俺はね…酔ってないよ?それに、子供でもない。きっと幸せにしてあげる。何でも好きな物を買って…なんでも与えてあげる。ケチ・くさ男じゃないから…シロの大好きな物で…毎日を飾って…毎日を幸せいっぱいで過ごさせてあげる。」 電話口の桜二は、酔っぱらった依冬の声が聞こえたのか…渋い声を出して言った。 「俺の悪口言ってない…?」 「言ってないよ。お迎え来て?それか…もう、代行に頼もうかな…」 桜二がへそを曲げると…面倒なんだ。 オレは取り繕う様にそう言うと“代行”という…ケチの彼が嫌うワードを出した。 「代行?代行に頼むくらいなら…タクシーでそっちに行くよ。」 桜二はすぐにそう言うと、電話を切った… タクシーだと割増料金でも2、000円ちょっとくらいだけど…代行だと5、000円は取られると、彼は知っていた様だ…ふふ。 「シロ…お風呂に一緒に入ろうねぇ…」 すっかり酔っぱらった依冬を抱きしめると、ため息を吐いてマスターに言った。 「疲れてんのかな?そんなに飲んで無いのに…酔っ払っちゃった…」 「嬉しかったみたいだよ?お前がみんなを感動させた事が…とっても、彼は嬉しかったみたいだ。はっ!妬けるね?」 マスターはそう言うと、オレに一枚のチップを寄越して言った。 「ブラボー、シロ。最高だった。」 ほほ! こんなに褒められると、なかなかこそばゆい… マスターからありがたくチップを頂くと、酔っぱらった依冬を抱きながら銭ゲバタイムだ。 「どれどれ~!」 そう言うと、チップを1万円づつまとめる作業を始める。 「Hello, Shiro. I’m glad to meet you !」 オレの顔を覗き込むと、イケオジ風の外国人がオレの隣に腰かけて、声を掛けて来た… あぁ…ヒロさんはこんな時に限って…ステージの下で楓に鼻の下を伸ばしてる。 「うん。こんちわ!初めまして!」 彼を横目に見てそう言うと、いつもよりも高額のチップを10万円単位で並べ始める。 「君のショー、見せて貰ったよ…とっても素晴らしかった。驚いたよ。」 いつの間にか戻ってきたヒロさんは、自分の役割を理解したように紳士的にそう言った。 ウケる… 「ふふ…そう。良かったよ。オレも、今日はいつも以上に張り切れたみたいで…思った以上に上出来に踊れたみたいだ。」 そう言って隣に座った紳士にほほ笑みかけると、彼はオレに覆い被さる依冬を見て言った。 「この人は…勇吾じゃないね?」 「そうだよ。この子は勇吾じゃない。でも、それは、あなたには関係のない話だ。」 眉を上げてそう言うと、紳士の顔を見つめて首を傾げて言った。 「あなたは…誰?」 紳士はにっこりとほほ笑むと、椅子から降りて丁寧にお辞儀をして言った。 「勇吾の大切な人を見に来た…名前は、敢えて名乗らないよ…?失礼を許して。」 なんだ…この人。 まるで、芝居をしている様に優雅な身のこなしをするんだ… 「まるで役者さんみたいだね…勇吾のファンなのかな?ごめんね。オレは彼の事を話さないよ?彼について何か知りたいなら、本人に聞いて?オレは伝書鳩でも、彼のおまけでもない。だから、オレに用が無いのなら、話しかけないで?」 つれなくそう言うと、依冬の腕を掴んで揺すった。 「依冬、起きて?」 「ん~~うっさい!」 だめだ…依冬はてんでダメ男になってしまった。 ここは、桜二の登場を待つしかない。 おもむろにオレの顔を覗き込むと、紳士はにっこりとほほ笑みかけて言った。 「勇吾は…彼は、僕の恋人だったんだよ。ずっと昔だけどね…愛してた。」 はい…? オレは固まってヒロさんを見て言った。 「通訳間違ってない?」 「間違ってないさ?」 ヒロさんはそう言うと、渋い顔をして紳士になりきって言った。 「君が言う通り、僕は役者をしていてそれなりにコネを持っていた…。勇吾はそのコネが必要だったみたいで、繋がりを作った途端に消えてしまった…。まるで雲をつかんだみたいに…あっという間に、消えたんだ。」 ええ…? この話って…聞いて良い物なの? なんでこの人は、わざわざ日本にまで来て、オレにこの話をしてるの…? シロ…落ち着け。落ち着くんだ。 あんなに綺麗な人なんだ…無くは無い。 でも 聞きたくはない。 …だったら、やる事はひとつ。 「ねえ…それをオレに言ってどうすんのさ!あの人はオレの物だよ?それ以上でもそれ以下でもない。もう、とっととイギリスに帰ってポロでもしてなよ。」 オレは乱暴にそう言うと、渋い紳士にオラついて言った。 「大体さ、一体何年前の話をしてるの?そういう色恋は時効3年ってオレの中では決めてる。3年以上前の話を持ち出す奴は、大抵下らない事しか言わないんだ。だから、わざわざ来ていただいて申し訳ないんですけど、オレはあなたの話を聞きたくない。」 オレがまくし立てる様にそう言うと、目の前の紳士は目を丸くして言った。 「そんなつもりじゃない…ただ、彼が…パートナーシップを結ぶ程に、愛した人を見たかっただけなんだ。」 「それが未練がましいって言うんだよ?大体さ、その話をオレが聞いたらどんな気持ちになるのか、考えたりした?役者なのに…想像力が皆無なのか、わざとそうしてるのか、穿った見方をされてもおかしくないよ?」 オレはそう言うと、紳士を睨みつけて言った。 「勇吾が愛してるのは、オレだけ。あんたに懐いたのは、コネが目当てだった。それだけだ。」 「君も、勇吾のコネが目当てなんだろう…?」 オレの言葉に苛ついたのか、紳士は眉をひそめると声を低くしてそう言った。 は? オレとやろうっての?上等じゃないか! 歌舞伎町で培った、減らず口を披露してやるよ? 「コネ?何のための?オレは、ここで、最高のステージが出来ればそれだけで良いんだ。勇吾は、イギリスで、ひとりきりで、のし上がる為に必要な事をした。その過程にあんたが居ただけだ。それを甘んじて受け入れられないようじゃあ、愛してたなんて言えないよ。ましてや、今の彼の一番に近付いて…そんな話、したりしない。」 オレはそう言うと、紳士を見つめて首を傾げて言った。 「あんたがどんだけ綺麗な言葉で飾ったとしても…未練がましいジジイの戯言にしか聞こえない。」 オレの瞳をまっすぐに見つめると、紳士は瞳を細めて言った。 「あぁ…君のそういう所が、彼は好きなのかもしれないね…」 「だとしたら、あんたのそういう所が、彼は気持ち悪いって思って、離れたんだろうね…」 そう言って眉を上げると、ニヤリと口元を上げて言った。 「…勇吾はオレの小鳥。あんたに出会う前から、オレの小鳥。」 オレの言葉に呆然とすると、ニヤリと口端を上げてクスクス笑いながら紳士は言った。 「そうか…ずっと前から、君の小鳥だったのか…!これは、全く。面白い子だね?ふふっ…。彼が好きになった理由が分かったよ。君は、面白い子だ。あぁ…やっと、溜飲が下がった。」 紳士はひとりで楽しそうに笑うと、オレの顔を覗き込んで言った。 「君の言う通り、僕は少し…未練がましいジジイだったみたいだ。ただ、自分がフラれた事が納得出来なくて、彼が誰かと噂になる度に…ふふ、理由を探してた。でも…ずっと前から、彼が君の小鳥だったとしたら、そんな事を考える事すら、馬鹿らしくなって来た。そうか…ははっ!君はとても…クレバーだ。あははっ!なる程ね…ふふっ!」 なんだ…知らないうちに彼の気が済んだみたいだ。 さっきまでの値定めする様な目つきをやめて、ただ楽しそうに瞳を細めて笑ってる。 それにしても…勇吾の奴。 もっと上手に別れる事は、出来ないんだろうか… この紳士といい…真司君といい…彼は少し、拗らせてから別れる所がある。 「シロ~…あ~、最悪だ。俺はこいつを担がないからな…」 やっと桜二がお迎えに来てくれた! 文句たらたらでそう言うと、依冬のポケットから車のキーを出して彼に渡した。 「シロ…?僕は、楓の最後のショーを見てから帰るよ…」 ヒロさんが、そう言った。 オレは彼を見ると、じっと瞳を見つめて念を押す様に言った。 「…ヒロさん、オレは言ったからね?」 そう言って踵を返すと、紳士とヒロさんが英語でおしゃべりするのを背中で聞きながら、酔っぱらった依冬を肩に乗せる。 「も、重い…!依冬の馬鹿…!」 「ん~シロ、エッチしよう…」 酔っぱらって寝ぼけた依冬は無敵だ。 オレの体を抱き上げると、ギュッと両手で絞めて股間へ手を伸ばして来る。 もちろん、ここはまだ店内だ。 オレの目の前には、キョトンと驚いた顔をしたお客が居るし、同じ様に驚いた顔をしたウェイターもいる。 「な、なんだ!ダメ、離して!桜二…!桜二!」 だから、必然的に彼を呼ぶしかないんだ。 「ちっ!なぁんで、こんなに酔っぱらってんだよ。」 桜二はそう言うと、しぶしぶ依冬の体をオレから引き剥がして、自分の肩に彼の腕を乗せて運び出した。 「着替えてくるから~、車で待ってて!」 階段を下りて控室に戻ると、ステージへと向かう楓の後姿と、鏡の前に置かれたヒロさんの連絡先が書かれた小さなメモを見つめた。 あぁ…楓。 こんなもの…だめだよ…彼ぴっぴが居るのに… オレはそっと手で払うと、連絡先が書かれたメモをごみ箱へ放った。 はぁ… 彼らは行くとこまで行くだろうな…そんな気がするよ。 止めても無駄な気がする。 着替えを済ませると、自分の荷物を持って控室を出る。 「なんだ。通訳は置いて行くのか…?」 支配人がそう聞いて来るから、オレは肩をすくめて言った。 「楓のラストを見てから帰るんだって…」 「へえ…」 支配人はそれだけ言うと…その先まで意味が分かったみたいに、それ以上聞いて来なかった。 これが大人の対応… 見ざる聞かざる言わざる…だ。 桜二の運転で家まで帰ると、酔っ払いの依冬を一緒に運搬して、玄関を開いて家の中に入る。 「桜二…手伝って…!」 そう言って彼のスーツを脱がせて部屋着に着替えさせると、オレのベッドに寝かせた。 依冬の胸に両手を置いて、彼の顔を覗き込んで言った。 「依冬?依冬の部屋はしばらくヒロさんが使うから、お前はオレの部屋で生活するんだよ?良いね?」 「あい、分かった~~」 ご機嫌にそう言うと、依冬は速攻で眠りについた… 「はぁ…凄いな…」 「なんで俺があいつの世話を焼かなきゃダメなんだ…!ただでさえ、面倒なのに…」 ぶつぶつ言いながら桜二がキッチンドランカーになっているのを横目に見ると、着替えを手に持ってシャワーを浴びに行く。 依冬がうちのお店であそこまで酔っぱらうなんて、もしかしたら初めてかもしれない。 …オレがみんなを感動させたことが、嬉しかった… そんなマスターの言葉を思い出しながら、ひとりでニヤニヤして笑う。 手のひらにシャワーを受けながら…今日踊った最高のステージを思い出して、胸の奥がフルフルと小刻みに震えた。 感動した…か。 ふふ…! シャワーを出るとさっさとパジャマを着て、髪をタオルで乾かしながらリビングへ向かう。 「桜二~、桜二~」 オレが呼ぶと、物置から顔を出して桜二が言った。 「何…?」 「今日、すっごい良いポールダンスが踊れた…。お客が大興奮して、依冬が浮かれて…飲み過ぎたんだ。」 ワインセラーでワインを取り出す彼の背中にもたれかかってそう言うと、桜二はオレのお尻を抱えながら体を起こして言った。 「それは…俺も見たかったな…どんなにエッチだったの?」 ふふ…!お馬鹿さんめ! 彼の肩をガジガジかじると、両手でしがみ付いて言った。 「エッチじゃない。幻想的で…現実離れした空間に連れて行った。」 「ははっ!それは…シロの得意技だね。俺はいつも連れて行って貰ってるよ…」 桜二はそう言ってクスクス笑うと、ワイングラスにワインを注ぎながら言った。 「吐かない程度に…付き合って?お祝いだ…」 キッチンにオレを座らせると、ワインが少しだけ入ったワイングラスをオレに渡して、自分のグラスとカチン…と合わせて言った。 「おめでとう…素敵なポールが踊れた…」 「ふふ…」 口元を緩めて笑うと、ワインを一口飲んで目の前の彼にキスをした。 ワインを飲みながら足をブラブラと揺らして、目の前の桜二を見つめる。 後ろに流していない前髪は、彼の目を簡単に覆い隠す。 指で掻き分けると、覗き込むように彼の瞳を見つめてクスクス笑う。 「可愛いね…まるで、暖簾みたいだ。大将、空いてる~?」 クスクス笑ってそう言いながら、何度も桜二の前髪を指先で掻き分けた。 「ふふ…馬鹿だな。」 桜二はそう言うと、オレを抱っこしてソファに連れて行く… そして、ゴロンと背中を起こして寝転がると、手を広げて言った。 「おいで…シロちゃん…桜二のとこに、おいで?」 ふふ…可愛いだろ? 彼の胸に頬を付けて一緒にゴロンと寝転がると、グッと体が沈む様に引き付けられる。 「桜二…桜二、ボー君は…17歳だった。チッパーズのドンは、17歳だった…。」 「あ~…出禁だね…」 桜二はそう言うと、ワインを一口飲んでオレの髪を撫でた。 「ふふ…彼を、オレの広報にスカウトした…。売り専で働いてたって言うんだ。アルバイトだけじゃ…生活できないって…。そんな事、しなくて良いんだ。だって、彼はYouTubeのチャンネルを持ってる。今の時代…儲けられるチャンネルを持っているという事は、ある意味一つの事業を成したくらい、自慢できることだよ…」 桜二の胸を撫でてそう言うと、彼はクスクス笑って言った。 「シロに無断で動画を撮っているのに?」 「ん~…でも、そのお陰で、オレは海外でもニッチな層に知名度が高い。こう言う事を…ウインウインな関係って言うんじゃないの?」 顔を上げて彼を見つめてそう尋ねると、桜二は首を傾げて言った。 「まあね…。お前が嫌じゃないなら…俺は何も言わないさ…」 ふふ… ワイングラスを持った彼の首に顔を埋めると、クンクン匂いを嗅ぎながら抱き付いた。 あぁ…このまま寝られそう… ウトウトしてくると、目の前のローテーブルに置いた携帯電話がブルル…と震えた。 「…着いたかな…」 ポツリとそう言うと、桜二の胸を撫でながらクッタリと脱力して彼に甘える。 「シロ…眠い?」 「ん…」 優しい彼の声が、まるで耳の奥を撫でる様に穏やかに聞こえる… 「桜二と…愛し合わない…?」 「…ん」 オレがそう言うと、彼はクスクス笑ってもう一度言った。 「それとも、桜二と…愛し合う?」 「ふふ…」 可愛いだろ…?これが、本当のこの人なんだよ。 オレしか知らない、甘えん坊で…可愛い桜二。 「じゃあ…寝てるから、勝手にひとりでしたら良いじゃん…」 そう言いながら彼の耳を鼻でこしょぐると、桜二はワイングラスをローテブルに置いてオレの背中を両手でナデナデし始めた。 「ヒロさんは…多分、帰って来ない。」 桜二の顔を見つめてそう言うと、彼の唇に舌を這わせてキスをする。 「…なんで?」 「楓とエッチしてる…」 「ぶほっ!ほんと…?」 オレの頬を両手で掴むと、桜二が目を丸くして言った。 ほんとの本当だ。 絶対にするだろう… 桜二の上に跨ると、オレを見上げる彼を見下ろしながら、パジャマのボタンを外していく。 「ふふ…可愛いパジャマだね?だって、こんな素敵な胸筋が…とってもエッチに見えるんだもの…。良いセンスをしてる…」 彼の胸を舐めながらそう言うと、桜二はクスクス笑ってオレを抱き寄せた。 そのままオレを抱っこすると、ワイングラスを片手に自分の部屋に連れて行く。 ベッドに下ろしてボタンの外れたパジャマを脱ぐと、オレに覆い被さって、ねっとりと首筋を舐めて貪るように耳の裏にキスをした… 「ん…はぁはぁ…桜二、キスしてよ…」 彼の顔を掴んで自分へ向かせると、彼の唇に舌を突っ込んでキスをする。 彼の股間がオレの股間に触れて、ずんずんと彼が腰を振ると体が一緒に揺れて…キスが外れそうになるから、口元が緩んでいく… 「も…キスが外れる…」 彼の頬を掴んでそう言うと、桜二はじっとオレを見つめながらキスして言った。 「外さないで…」 無茶言うなよ… 両手でオレの体を撫でると、パジャマのボタンを外しながら、甘いキスをねっとりとオレにした。 舌が絡んで…吸われて、頭の中でいやらしいキスの音が響いてこだますると、頭の奥がジンジンと痺れて…腰が疼いてくる。 「はぁ…桜二、気持ちい…」 「そうだね…気持ちいい…」 オレの頬にキスすると、桜二は体を起こしてオレのパジャマのズボンを脱がせる。 されるがままにズボンを脱がされると、彼がオレを見つめて言った。 「お口でする?」 「して!」 すぐにそう言った。だって、大好きなんだ。 ねっとりと舌を這わせると、桜二はオレのモノを下から上へと何度も舐めて、弄ぶみたいに手の中できつく扱き始める。 「はぁあん…!あっああん!気持ちい!桜二…ん、ん~~!お口に入れてぇ…!」 彼の髪を掴むと腰をゆるゆると動かしておねだりした… でも、桜二はクスクス笑うだけで…お口の中に入れてはくれない。 先っぽを舌で強く舐めると、食むようにオレのモノを唇で挟んで何度も撫でる。 早く口の中に入れて欲しい気持ちと…腰が跳ねる気持ち良さに、悶絶して体が暴れると、桜二がオレの腰をホールドして動けなくする。 「桜二…お口でして…お願い…」 うっとりとうるんだ瞳で彼におねだりすると、桜二はオレの乳首を指先で転がして言った。 「まだ…しない」 はあ?! 「ん~~…んっん、はぁはぁ…あぁ、ん…してよ…して…」 彼に両足を掴まれたまま、ビクビクと腰を震わせると、か細い消え入りそうな声で何度もおねだりして、彼の髪を撫でる。 でも、桜二はオレのモノを手で扱きながら、ネロネロと舐め回すだけだ… 「はぁはぁ…あっああん、も、もう…お口に入れてよ…意地悪…!」 「意地悪じゃない…こうやって焦らしてるんだよ?」 桜二はそう言うと、オレの先っぽだけ口の中に入れて、舌で撫でた。 「はぁん!!」 腰がのけ反って…今にも、イキそうなくらい頭の中までびりびりと快感が来る。 「イッちゃう…桜二、だめぇ…イッちゃう…!」 「あぁ…ふふ、早いよ…シロ…」 分かってるよ?でも…焦らされた分、快感が増してるんだ。 「ん~~!はぁはぁ…あっ、んん…!」 必死に首を振って快感を我慢するけど、意地悪な桜二は楽しそうにオレを虐めて遊び始める… 「可愛い乳首…ツンツンしちゃおう…」 こんな…アホみたいな言葉も、桜二にかかると…一気に、とっても卑猥に聞こえて、頭の中が羞恥心と快感で満たされていく… 「だめぇ…そんなの言わないでぇ…」 彼を見つめてそう言うと、桜二は目を輝かせて言った。 「エッチだな…。大好きでしょ?…シロは焦らされるの…大好きでしょ?」 「ち、違う…やだぁ、馬鹿…んんっ!はぁはぁ…だめぇ、も、イッちゃう…」 グングン高まる快感を止められないよ… 「まぁだ、何もしてないのに…桜二に触られるだけでイッちやうの?」 楽しそうに声を弾ませると、桜二はオレの乳首を親指で転がしながらオレのモノを上からずっぽりと口の中に沈めて行った。 「ん~~~!あっああん!!」 腰が跳ねるくらい震えて、オレはすぐにイッてしまった… 「はぁはぁ…ああん…イッちゃったぁ…!桜二が意地悪だから、イッちゃったの…」 オレはそう言うと、彼の頭をバシバシ叩いて怒った。 「違うよ…シロは、桜二に触られただけで…簡単にイッちゃうんだ。どうしてか知ってる?」 イッたばかりのオレのモノを口の中に入れると、桜二は口の中でねっとりと吸い込んで、再び勃起させていく… 「ふっ…はぁはぁ!あっ…ああん…らめ、ん…気持ちい…!桜二、や、ヤダぁ…」 彼の問いかけなんて…どうでも良いくらいに気持ち良くなると、彼の髪を鷲掴みにして言った。 「好き…好き、好き!あぁっ!桜二…!大好き!大好きなの!」 もう、堪らないよ… 彼の手も…彼の声も、彼の意地悪な愛撫も…全部、大好き。 「ふふっ!あたりだね…シロは桜二が大好きなんだ…」 彼は満足げにそう言うと、オレのモノを熱心に舐めて口の中で扱いた。 「はぁあん!堪んない…!イッちゃう…!桜二、だめぇ!またイッちゃう!!」 こんなにもフェラチオが気持ちいなんて… どうして神様は男の性器をこんな風に作ったんだろう…。これじゃあ、すぐに、誰かの口に入れてしまいたくなるよ… 腰をガクガク震わせて彼の口の中に本日2回目の射精をすると、クッタリと惚けて天井を見つめた… 桜二がオレの隣に寝転がって何度もキスをすると、オレの中に指を入れて言った。 「ここは…どんなふうにして欲しいの?」 「はぁはぁ…ん、好きにして…」 「ダメだよ…俺はね?シロに気持ち良くなって欲しいの…だから、細かく指示をしてくれないと…良い物にならないだろう?」 そんな意地悪を言う彼を潤んだ瞳で見つめながら、撫でられる快感に…体を捩って喘ぐ。 「やら…意地悪しないで…」 「意地悪じゃないよ…シロの為に聞いてるの…ほら、桜二に教えてよ…?どうしたら一番気持ちいの?」 髪を撫でながらいちいちオレの顔を覗き込むと、桜二は羞恥心に頬を染めるオレの顔を見て、にやにや笑った。 彼の顔を両手で押し退けると、背中を向けてムスッとする。 いやだって言ってるのに、しつこくするから怒ったんだ! 「ふふっ!シロ…可愛い。怒ったの?桜二がしつこいから…怒ったの?」 中の指を増やすと、桜二がそう言いながら興奮していく… 「ヤダぁ…ん、も…!桜二なんて、やだ!」 そう言って逃げるオレの背中を舐めると、すぐに快感に反応して背中がのけ反っていく様子を楽しそうに眺めて、オレのお尻を何度もズボンの上から突いて来る。 「あぁ…逃がさないよ?可愛いから…虐めたくなっちゃうんだよ。ほら、俺はクソガキだからさ…」 桜二はそう言うと、オレのお尻を持ち上げてねっとりと中をしつこく刺激してくる。 「はぁあん…!や、やらぁ!…ん、もう…挿れて、挿れてよぉ!」 「ダメだよ…シロ、可愛いんだ。ほら…欲しいならここにあげる。 桜二はそう言うと自分のパジャマのズボンを下げて、勃起したモノをオレの口に当てて言った。 「気持ち良くして…シロの可愛いお口で、してよ…」 はぁ…堪らないだろ。 とってもエロくて、とっても意地悪だ… 目の前の彼のモノを舌で舐めると、両手で持って扱いた。 「あぁ…気持ちいね…」 その間も桜二はオレの中を執拗に攻めて、オレのモノを同じ様に口に入れて扱き始める。 所謂…シックスナインだ… 「はぁあん…らめだぁ…気持ちい…!」 腰を震わせるオレに、桜二はクスクス笑いながら言った。 「お口から出すなよ…ちゃんとフェラしてよ…」 「待って…待ってぇ…!だめなの…!桜二、しないで…お口でしないで…!」 彼のモノに頬ずりすると、懇願するようにお願いした… 「ほら…手伝ってあげる…」 彼はそう言うと、オレの口の中に自分のモノを入れて、腰を動かした。 「ぐっ!んん!んふっ…や、やらぁ…」 強引に入って来た彼のモノを必死に舌で絡めて吸うと、オレのモノを口で扱く彼の口に…同じ様に腰を動かして…口ファックしてやる。 だめだぁ…気持ち良くって、イッちやう… あっという間に彼の口の中でイクと、快感の余韻の中、桜二のモノをだらしない舌で撫でて吸った… ギンギンに硬くなって行く彼のモノを熱心に咥えて扱くと、桜二が体を起こしてオレの顔を覗き込んだ。 彼はオレが自分のモノを咥えてる所を見るのが…好きなんだ。 うっとりと惚けた瞳で、オレの髪を掻き分けてジッと…顔を見つめてくる。 「あぁ…可愛いね、可愛いお口で…とってもエロい…」 恍惚の表情でそう言うと、オレの口から自分のモノを取り出して、足の間に体を入れてオレを見下ろした。 グッと中に圧迫感を感じて体から力を抜くと、彼のモノが入って来る快感を感じて、背中がどんどん仰け反って行く… 「はぁはぁ…ん、あっああ…桜二、桜二…!」 「あぁ、気持ちい…」 彼はそう言うと、オレの中を味わう様にゆっくりと腰を動かして、オレの腰を両手でつかんだ。 「可愛い…柔らかくって、プニプニのお尻が可愛い…」 お尻を揉みしだきながら、ズンズンと腰を動かすと、桜二はオレを見つめて言った。 「…イキそう…」 え…!? 桜二にしては、早くないか…? 彼の肩を撫でるとそのまま背中を抱いて、自分に引き寄せて抱きしめた。 「早い…」 彼の耳元でそう言うと、桜二は息を荒くして言った… 「ダメだ…イキそう…!」 そう言うと、彼はあっという間にイッて…オレのお腹に吐き出して項垂れた… あれ、早漏… そんな事、考えてないよ? 桜二の顔を覗き込むと、慰める様に背中を撫でて言った。 「あんまり一緒に居るから、オレみたいにイキやすくなっちゃったのかなぁ?」 「違うよ…はは、言葉攻めしてたら…自分も興奮して、イッたんだ…」 …本当? 彼の背中を撫でると、眉を下げて言った。 「良いんだよ。別に…」 「だから、違うって…」 桜二はムッとしてそう言うと、オレのお腹を綺麗にフキフキして言った。 「…次は、長持ちするよ?」 別に…気にしてないのに… そうして始まった2回戦は…彼の宣言通り“長持ち”した。 それは隣の部屋で酔っぱらった依冬が起きる程の大きな喘ぎ声と、絶叫を生んで…ヒロさんの朝帰りを確認できる程…長く続いた。 「あはっははは…馬鹿だ…桜二は、馬鹿だ…!あ~はっはっは!」 クタクタになるまでセックスをした桜二の背中に頬を乗せると、ケラケラ笑ってそう言った… そんなに、早くイッた事が屈辱的だったの…? 彼は自分の限界を突破して…頑張った。 今日のステージの、オレみたいだね?ふふ… 反応の無くなった彼の背中を枕にして寝転がると、彼の産毛を撫でながら明るくなった窓の外を眺めた。 ヒロ…やりやがったな…

ともだちにシェアしよう!