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第一章・7

(助けて、誰か)  希の目から、涙がこぼれた。  こんな生活から、救いあげて。  その時、先ほどまで話をしていた一志の姿が思い出された。 (お客様……?)  違う、と希は首を振った。  生きるか死ぬかの瀬戸際の人が、僕を構ってる余裕なんてない。 「あぁ、あ。はぁ、はぁ、あぁ、ああ!」 「いい声で啼いてきたじゃねえか」  抜け出せないのなら、精一杯この兄を悦ばせるしかないのだ。  機嫌を取って、優しくしてもらうしかないのだ。 「ああ、出そう。希、中出しするぞ」 「ッ、どうぞ……」  途端に、希の体内のペニスが硬く大きく膨れ上がった。 「あ! ヤぁ、あぁ、あ!」 「ほら、受け取れ!」 「ひぅッ! あぁ、あああ! はぁあ!」  奥まで突かれ、たっぷりと精を塗り込められた。 「んぁ、あ。はぁ、はぁ、あぁ……」  ぐったりとテーブルに身を任せて、荒い息を吐く希。  その白い尻頬を、尊はパチンと叩いた。 「おい。店、開けるぞ」 「うう……」  助けて、誰か。  希の叫びは、声にはならなかった。

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