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第四章・4
希はクッションを勧めたが、一志はベッドに腰を下ろした。
「私が今、何を考えてるか解る?」
「何でしょう。パチンコのことですか?」
純情ぶって、言ったセリフじゃない。
希には、本当に解らないのだ。
そんなピュアな彼の心に、一志は情熱をぶつけた。
「君が欲しい」
今度は、理解した希だ。
たちまちのうちに、赤くなった。
「でも。まだ日は高いし」
「私たち、出会ってから一ヶ月近くなるよね。もうこれ以上、我慢できないんだ」
頼む、と願う一志の心もまた、純だった。
その目が本気で、澄み切っていたので、希は自然と彼の隣に腰かけた。
キスをし、抱き合い、髪を撫で合った。
「希……。希」
「ん、ぁんっ。一志、さん……」
しかし、着衣をはだけて一志がその肌に触れた時、希は急に拒み始めた。
「だ、ダメ、です。やっぱり、いけません!」
「どうして? 私は君を愛してる。君も、私を愛してくれてる」
「でも!」
(身体を開けば、僕がふしだらだ、ってことが一志さんに知られる!)
昨夜も、兄に抱かれた。
その前も、犯された。
開発されきった淫らな身体に、気づかれる。
「一志さん、お願い。やめてください!」
「何か理由があるね? 話して欲しい」
でないと、私は止まれない。
一志は、剥き出しになった希の鎖骨に強く口づけた。
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