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第五章・7
「一志さん。前も、きれいにしましょう」
「前はいいよ。恥ずかしいから」
いまさら、何を。
希は泡立てたシャボンを手に、一志のペニスをやんわりと擦った。
「あ、これはヤバいな」
「気持ちいいですか?」
すっかり前を泡だらけにして湯で流した後、希はその性器を口に含んだ。
「希、希。それはマズい」
「……」
ぴちゃくちゅと、シャワーの音とは違う響きがバスルームに沁み込んでゆく。
舐め上げ、吸っていた希は、やがて深く咥え込み抜き差しを始めた。
湯や蒸気とは違う体温が。
希の咥内の体温が、途方もなく心地よい。
「希、すごく悦いよ」
次第に一志は、喉奥までいざなわれるようになった。
柔らかく熱い希の喉は、時折締まっては一志を誘う。
(一志さん、そのまま吐いて)
「希、もうダメだ。出ちゃうから、離して」
(僕、一志さんのものが飲みたい)
「あぁ、すまない。出るッ!」
これが、一志さんの味。
喉を鳴らして、希は最後の一滴まで飲み干した。
「ごめんね。気持ち悪かっただろう?」
「好きな人のものは、飲みたいんです……」
希は初めて、愛する人への奉仕が叶ったのだ。
一志は希に口づけ、その咥内を舐めた。
自分の精の残液を、きれいに清めた。
「やっぱり、変な味だよ」
「ごめんなさい。一志さん」
でも、ありがとう。
一志のまごころを胸に、希は今一度生まれ変わった心地を感じていた。
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