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花の王子が行く編 3 抱き心地の良い身体

 俺のこと、パートナーって隠さずにいてくれる。  街中でも誰の目も気にすることなく手を繋いでくれる。 「あっ、敦之っさンっ」 「うん」  名前を呼んだら、俺の胸元に埋めていた丹精な顔を上げて、唇に絡みつくようなキスをくれた。 「っふ」  甘くて、優しくて、蕩けるキス。 「あっ……ン」  今日のレストランだって、俺の身の丈にはちっとも合ってないところでしょ? けれど、誘ってくれるんだ。普通に。気兼ねなく。  俺、マナーちゃんとできてたかな。ネットとかで色々調べたけど、それだけじゃ百点満点にマナー守れてたかどうか怪しいと思う。  些細なところで、無礼なことしてないかな。  敦之さんのパートナーとしてちゃんとできてたかな。  俺なんかを連れて来て、敦之さんが笑われないかな。  いつも、いつだって、貴方の隣にいたいからちゃんとしてたいんだ。 「あ、あの、敦之さん、も、俺はいいから、今度は敦之さんの」 「拓馬、今日はお祝いだから、じっとしてて」  言いながら微笑んで、敦之さんが俺の首筋にキスをしてくれる。 「良い香りだ……」 「あ、ホントですか?」 「うん。新しい?」 「買ったんです。この前、敦之さんと買い物しに行った時に良い香りって言ってたから」 「わざわざ?」  コクンって頷いた。  ボディクリーム。少しでも貴方に触ってもらえた時に指触りのいい肌に仕立てておきたい。こうして近くに来てくれた時に良い香りって、思ってもらいたい。だから、外回りの時に、あの時のお店が近かったから、ちょっとだけ寄って買ったんだ。 「仕事忙しかっただろうに」 「ぜ、全然っ、敦之さんに比べたらっ」  だって、少しでも貴方に抱き心地の良い身体って、思ってもらいたい。  貴方に抱きたいって思ってもらえる身体になりたい。 「ありがとう」  喜んで、もらえたかな。そうなら嬉しい。 「あっ、待っ」 「良い香りだから」 「あっ、そこっは、待っ、あぁっ、ン」 「ずっと抱いてキスしていたくなる」 「ひゃあぁ、う、ん、あっ、ダメっ、敦之っさんっ」  気持ち良くて、貴方の柔らかい髪を掻き乱してしまう。  気持ち良くて、貴方の頭を太腿でぎゅって挟んでしまう。  気持ち良くて、これじゃ、さっき蕩けるキスをしてくれたその唇で、イッてしまう。 「あっ、あっ」 「こら、拓馬、それじゃ、口でできないよ」 「や、ダメ」  蕩けちゃうってば。貴方の唇でイかされちゃう。 「ひゃぅあっ」  脚を上手に広げない俺を叱るみたいに敦之さんの歯が腿の内側の柔らかい肌に突き立てられて、ゾクゾクした。 「あっ、ン」  キス、気持ちいい。  溶けちゃうよ。 「あぁっ」 「良い子だ」 「あ、あ」  貴方に尽くしたいのに、ゆるりと解けて、脚、開いてしまう。 「あっ、あっ」  イっちゃう。 「あ、敦之さんっ、ダメっ、あぁっ、も、ダメ」  きつく吸われて、腰が勝手に浮き上がった。 「あ、あっ、っっっっっっ!」  それを見計らっていたみたいに、敦之さんが頬の内側の柔らかいところで、俺のをたくさん扱いてくれたら、もう、たまらなくて。 「あ、あ、あっ、おねがっ……口、ダメ」  たまらなくて。 「ぁ……」 「やらしい」 「あっ」  熱を全部、敦之さんの、あの唇に。 「ずっとここがヒクついてる」 「あぁっ、あ、指」 「中、熱いね。明日は拓馬が休みだから、調子に乗った。飲ませすぎた」 「……あ、あぁ」  長い、綺麗な、何より綺麗な指が俺の中を弄って、たまらなくなっちゃうところばかりを撫でてくれる。気持ち良いところばかりを可愛がって、甘やかして、ほぐしてくれる。 「敦之さん」 「?」  指でも、感じた? 「拓馬」 「ぁ」  濡れた音を立てながら貴方の綺麗な指で仕立てられた奥を、自分から開いて、見せた。 「も、欲しい……です」  もう片方の手で、そそり勃って布越しでもドキドキさせる敦之さんのを撫でて、懇願した。 「敦之さんの、ここに、欲しい」  手のひらでくるりと撫でると息を詰めてくれるのが嬉しい。  はしたなく脚を開くと、敦之さんが熱っぽく見つめてくれるのが嬉しい。 「俺、社内試験、だけど、頑張った、ので」  貴方に欲しがってもらえるなんて。 「なの、で、お祝い、ください」 「拓馬」  なんて、幸せなんだろう。 「あっ……敦之さんの、欲しいっ」 「煽らないように」  敦之さんが表情を険しくさせて、下着をずり下げると、勢い良く硬い熱が跳ね上がった。 「あっ」  お尻にその先端が触れただけで、もう、蕩ける。 「拓馬」 「あ、あぁぁっ」  挿入の瞬間、身体中が気持ち良いって悦んだ。 「あ、あぁっ、あ、おっき、ぃ」 「っ拓馬」 「あ、ン、あ、あっ、熱いっ、の、気持ちいい」 「っ、こら」 「あぁぁ、ンっ」 「煽らないようにって、言っただろう? 俺が調子に乗るから」  キュウキュウ締め付けて、貴方にたくさん可愛がってもらえるのが嬉しくて、全身で貴方に絡み付く。 「あ、敦之さんっ」  腕で。 「俺、気持ちいい?」  脚で。 「気持ち良すぎて困る」 「あっ、よかった……ぁ、ン、ン……ふ」  舌で。 「明日、せっかくの休み、ゆっくり羽を伸ばさせてやりたいのに」  奥で。 「これじゃ、ほぼベッドで過ごすようになってしまう」 「や、だ」 「拓馬」 「一番、欲しいの、は」  貴方に絡みついて離れない。 「敦之さん、だからっ」 「っ、拓馬」 「だから、もっと、して……」  そう囁いて、キスをねだると、深くて濃くて、それだけで頭の芯が痺れちゃうようなキスをくれる。溺れるようにその唇に夢中で触れながら、腕で首にしがみつくと、奥をたくさん、貴方のことを欲しがる奥を何度も、何度も、キスをしながら突いてくれて。 「あ、イク……敦之さん、イっちゃうっ」  貴方にセックスを教えてもらった身体が嬉しそうに悦んで、蕩けた。 「イクっ」  嬉しそうに、ふわりと一番気持ちいいところでほどけた。

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