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花の王子が行く編 9 プライベートベッド

 いつも素敵で、いつだって優しくてスマートな人、なんだ。 「あっ……っ」  かっこよくて、スタイル抜群で、なんでもできて、才能がたくさんあって。 「あ、あっ、あぁっ」  完璧な人。 「あっ……ン」 「……拓馬」  そんな人のね。 「気持ち、い、ですか?」  楽しそうにはしゃぐ顔が見られた。町内会の釣り体験だよ? なのに、瞳をキラキラさせて、元気に返事したりして。インタビューなんてしょっちゅうされているのに、インタビューされてしまった、なんて嬉しそうにしたりする。  魚が釣れると慌ててた。  小さな魚だったけど、釣れると、おおはしゃぎで。  お昼ご飯のあと、あと少しだけ釣りを、って川に入ったけれど、きっと魚もたくさんご飯を食べたんだろう、日差しを避けるように岩の下でもう休憩していたのかもしれない。エサにちっとも食いついてくれなくて。はしゃぎすぎたのと、暑い日差しをたちまち冷ます冷たい川の水、それから絶え間なく耳触れる穏やかで綺麗な水の流れる音に、なんだか気持ちがのんびりしちゃって。  貴方があくび、したんだ。  初めて見た。  貴方のあくび。  嬉しくて、俺が今度はおおはしゃぎしちゃった。  まるでいつだって完璧なアイドルのオフショットを見ることができたと喜ぶファンみたいに。 「拓馬」 「あっ」 「すごく気持ちいいよ」 「あ、あ、待って、今っ」  敦之さんの上に乗っかって、深くゆっくり身体を沈めてく。貴方の熱が奥に突き刺さって、馴染むのを待つように、硬さを味わうように、ゆっくり、貴方のこと気持ち良くしようとしたところで、腰を手で掴まれて、小さく突き上げられた。 「拓馬」 「あ、あ、あ、ダメ、俺、がっ……敦之さんの、したい、から」  スーツ姿が多いからそんなに際立つことがないけれど、すごく引き締まっている腹筋に手を置いて、腰をゆらゆらと踊らせた。 「あ、あぁっン」  それから自分の気持ちいいところを敦之さんので撫でて、擦って、とろけるくらいに奥がきゅぅんってしてくるから。 「あ、あぁぁっ」  今度はその奥まで貴方のを突き立てて、絞り上げるように締め付けてく。腰を上げて、また沈めてく。  今日たくさん、色んな敦之さんが見れて嬉しかった。きっと、敦之さんのファンの人も知らない、無邪気な表情とか眠そうなところとか、たくさん見れて、嬉しかったんだ。 「あ、すごい……あ、あ、ああ」  俺しか知らない、貴方が見られたって。  今も、そう。 「あ、あぁっン、あっン」  色っぽくて、俺が腰を振ると、気持ち良さそうに眉をキュってしかめてくれる。いつも優しくて、いつも紳士的な人が男の顔、してくれる。 「敦之さんっ、あ、あ、あ、すごいっ」 「拓馬」  そっと敦之さんの花を艶やかに飾ってあげられる魔法の手が、俺の頬を包んでくれた。 「やらしい顔してる」 「あっ……」 「とろけた顔」 「あっン」  花を愛でるその指が、俺の唇に触れて、舌を撫でてくれる。 「昼間、釣りをしていた時の楽しそうな顔」 「ぁ……っ」 「お昼ご飯をおいしそうに食べる顔」 「あ、あぁっ」 「どんな拓馬も可愛いけど」 「あ、あ、敦之っ、さんっ」 「こんなやらしい拓馬は俺しか知らない」 「あっ!」  腰を振りたくって、敦之さんの上に跨っていた俺は抱き締められたまま、体勢が入れ替わって、今度は深くベッドに沈んだ。 「っ、ぅっン」 「拓馬」 「あっ」 「昼間の君のこんな表情も、姿も、俺だけ」 「あぁっ」  腰をしっかりと掴まれて、奥を硬いので、突き上げるように貫かれたら。 「やらしくて」 「あぁっん、今、俺っ」 「興奮する」 「あ、あ、あ」  今、中、蕩けてる。  熱くて、たまらない。  キュンキュン貴方のことを締め付けてるのがわかる。  締め付けて、絞るように貴方にしゃぶりついてる中を掻き分けて、奥を何度も責められるとたまらない。 「あ、あっ、また、イッちゃう」 「拓馬」 「あ、ダメ、敦之さんっ」  甘い甘い快楽に痺れた腕をいっぱいに伸ばして、貴方の首にしがみついた。 「一緒がいい、です」 「っ」 「お願い、敦之さん」  舌を、昼間無邪気に笑っていた丹精な唇に差し込んで、その熱い舌に絡ませる。 「一緒に、俺の中で」 「っ」 「敦之さんの、欲しい」  全部で貴方にしがみつきながら懇願した。 「拓馬っ」 「あ、ああぁっ」  荒々しくて。 「あぁ、そこ、ダメ、イッちゃうっ」 「っ」  激しくて。 「あ、あっ、イク」  力強い。 「あっ…………イクっ」  手折ることなく花を愛でるその手が、指が、肌に痕がつきそうなくらい力強く俺を引き寄せてくれる。  上品なその唇が濃厚で激しいキスをしてくれる。 「誰も知らない、やらしい顔見せて」 「あ、あ、あ、あっ、イク、あ、あぁぁぁぁっ」 「拓馬」  脚をいっぱいに広げて、貴方と深く繋がった場所にもっと深く激しくしてとねだるように、甘い声をあげた。 「イク、イっ……ぁ、あっ」  その瞬間、一番奥に貴方のが強く押し付けられて、感じた。 「あっ……すごい、熱い」 「はっ、拓馬の中が……気持ち良くて」 「あぁ、まだっ」 「止まらない」  目が合うと、ふにゃりと笑ってくれた。誰も見たことのない油断した笑顔に、激しい行為に汗ばんだ逞しい体に、ぎゅっと抱き付いた。 「敦之さん」 「?」 「大好きです」  抱きついて、大好きな人のオフショットに大はしゃぎしながら、またキスをした。

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