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花の王子の休息編 7 俺だけの

 そう、なんだ。  きっと、みんなが知ってる敦之さんって、上品で紳士で、優しくて気高くて、清廉な人、だと思うんだ。  でも、俺はそうじゃない敦之さんも知ってることが嬉しくて。 「拓馬」  そうじゃない敦之さんを独り占めしているって思うと、とても興奮する。 「あぁっ……あ、ン」  けっこう、自分が意地悪な奴なんだなって最近知った。 「敦之さんっ、あンっ」  みんなが知ってる敦之さんじゃない、俺を抱く時、俺と一緒にいる時の、もっと、すごく――。 「あっ」 「敏感」 「あンっ」  すごく、熱い人で、ひどく艶かしくて、欲張りな人だって。  それを誰にも知られていないことが、やけに誇らしくて、俺は高揚してしまう。 「乳首、気持ち、ぃ……」  敦之さんの足の間に跨って、もっと舐めてって自分から服を捲り上げる。ベッドの背もたれに寄りかかった貴方に噛み付いてもらえるように背中を反らせて身体を寄せた。ツンと尖って、赤く色づく乳首を彼の唇に押しつけようと、その唇を見つめてしまう。 「あ……ン」  できるだけ、彼が理性を手放してしまいたくなるように甘い声を上げて。その理性が溶けてなくなってしまうように、舌先を絡めて、熱く濡れたキスをする。 「ン」  柔らかく舌先を絡めて、首に腕を巻き付けて、もうはしたないほど硬くなった自分のを敦之さんに擦り付けると、腰を大きな手が掴んでくれた。 「あっ……」 「拓馬」 「あぁっ……ン」  身体を重ねたまま、のけぞれば首筋を、愛撫に感じて肩を竦めて、胸にキスをたくさんしてもらう。一昨日つけてもらえたキスマークに上書きするようにキスをしてもらえて、悦んで身悶えていると、抱き締めてくれる手が乳首を摘んでくれる。コリコリと硬くなった粒を指で挟まれその指先に捏ねられながら、貴方のことが欲しくなってきた奥をお尻の割れ目から指先でクンって押し込まれて。 「アンっ」  下腹部がズキンと疼くのを感じた。  足をもっと開いて、全身で擦り寄って。  たまらないのって縋り付く。 「拓馬」 「ぁ……これ、欲し」  手を伸ばして触れたのは、欲しくてたまらない敦之さんの熱。 「口で……あっ」  ルームウエアと一緒に下着を引っ張って下ろすと、勢い良く、熱が跳ねた。 「あ……」 「口でしてくれるの?」  嬉しいと言って、優しくキスしてくれた。背もたれに背中を預けた敦之さんが俯くと、一日セットすることなく素のままだった前髪がパサリとかかって、素敵な目元を隠してしまう。優しくて、綺麗で、でも。 「たくさん、してあげます」  抱いてくれる時は、ドキドキするくらい鋭く俺を見つめてくれる瞳。その瞳に見つめられてるだけで、俺は――。 「あ……っ、ン」  身体の奥が熱くなる。  蕩けて、奥の、敦之さんの熱いのしか届かない奥がぎゅって、切なくなる。 「ン……ン、ん……あ……っ、む」  あとで。 「ん……ンンっ」 「拓馬、そんなに急に喉奥まで咥えたら、傷める」 「ん……や……ん、ぁっ」  これで奥を責めてもらえるんだって思うと……。 「腰が揺れてる」 「っ、ンっ……ンンっ」 「やらしい」  たっぷりと舌先を絡めて、先端には優しく唇でキスをして、硬い軸は頬を窄めて扱くように締め付ける。くびれたところには吸い付いてキスをするのが、敦之さんは好き、でしょう?  貴方の好みの愛撫で、貴方に快楽を教えてもらった身体を火照らせながら。  あとでたくさん、この熱を身体の奥で感じたいって期待をキスに込めてしゃぶりつく。 「ん……ン」  口いっぱいに頬張って、舌でたくさん濡らして。 「顎、疲れるから」 「あ……」 「おいで」 「ンっ」  顎を撫でられて顔を上げるとそのまま抱き抱えられて、もう一度膝の上に座らせられた。 「それに、もう、拓馬の中に入れさせて欲しい」 「あっ」 「ここに」 「あ、敦之っさんっ」 「挿れさせて……」  コクコクと頷いて、自分から腰を上げて、敦之さんに脱がしてもらった。割開くように、大きな手にお尻を鷲掴みにされるとたまらなく興奮する。  あの、花を愛でる優しい手が、力強く鷲掴みにしてくれる。  そう思うと。 「あ、あっ」  熱の先端が孔に触れただけで、奥がキュッと締め付けた。 「あぁっ」 「拓馬」 「あ、乳首っ、今、噛んじゃ、ダメっ」  敦之さんに快楽を教え込んでもらえた俺の身体の一番奥に。 「あっ……あぁっ」  熱が抉じ開けて入ってくる。 「あ、あっ」 「っ」 「っ、あっ、ン、あっっっっっ」  深く咥える瞬間が――。 「っ、挿れただけで?」 「あ、だって……気持ち、ぃ」 「拓馬」 「あっ……ンンっ」  幸福感で満たされる。 「拓馬、すまない」 「あっ、あぁっ待っ」 「待ってあげられない」 「あ、あ、あっ」  寝室に甘い音が響いて、快感にシーツがひどく乱れてく。 「拓馬」 「あ、あ、っ、もっと……して……たくさん」  繋がったところから濡れた音を立てながら、自分からも腰を振りたくって、敦之さんのことを締め付けてく。内側で扱いて、貴方のことを気持ち良くさせたくて、必死になって、しゃぶりつく。 「ん……ン……ンンっ」  キスで、腕で、身体の奥で。 「敦之さん……」  貴方のことを独り占めした。

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