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新人さんいらっしゃい編 2 一生懸命に
「相手のペースに合わせつつ、成功体験を積ませる……と……」
小さな「できた」を実感させるのも大事。なるほどなるほど。
メモが上手く活用できてないようだったら、何をメモするかもアドバイスすると良いのか。そこは、確かに任せちゃってたなぁ。うんうん。
なぜそれをしなければいけないのか、理由と手順も伝える。はい。これはやってます。敦之先生っていうお手本があるので。
心理的安全性、と。
質問しやすい雰囲気作りかぁ。
できてた、かなぁ。なんでも聞いていいよって言ってはいたけど、この前、電話がかかってきちゃって、質問したそうにしてたのに答えてあげられなかったっけ。もっと耳傾けないと、かも。
「耳を、傾け、る……と」
「何を傾けるの?」
「はわっ! わっ、あ! 敦之さんっ!」
いつの間にかお風呂から上がってきていた敦之さんの声に驚いて飛び起きた。ベッドで寝転びながら、「明日から君も新人教育監督だ!」を教科書にメモを取っていたところだった。
失敗。
ちょっとお行儀悪かったよね。寝転びながら勉強なんて。敦之さんがお風呂、上がったってわかったら、大急ぎでかしこまっておいたのに。気が付かなかった。
「拓馬、少し、髪が冷たくなってる」
「……ぇ、あ」
俺の頭にキスをしてくれた。
先にお風呂入らせてもらっちゃったんだ。敦之さんの方が帰りが少し遅くて。夕飯作ってくれたから片付けるよって言ってくれて。お言葉に甘えて先にお風呂、入っちゃった。
「ちゃんと乾かした?」
「は、ぃ」
うつ伏せになっていた俺に覆い被さるように敦之さんがベッドに乗ってくれた。二人分の重みにわずかにスプリングが揺れて、ちょっと、心臓も躍った。
「新人教育……拓馬は先生だったね」
「あ、はい」
敦之さんこそ、まだ少し髪が濡れてる。
「えらいね」
「い、いや、全然。俺、教えるのあんま上手くなくて。新人の子が覚えられなくて。教え方が悪んだろうなぁって。だから、もう少し教え方頑張らないと」
ちょっと、ドキドキする。
「一生懸命だ」
ほら、ふわりと良い香りがする。甘すぎず、鼻先に触れると、心がふわりと柔らかくほぐれるような優しい香り。
「……ぁ」
「でも」
敦之さんの湯上がりで温かい手が俺が読んでいた本をそっと閉じた。
「そろそろ、俺のこともかまって」
「……ぁっ、っ」
頭に触れたキスが今度はうなじに触れてくれる。
「待ては、あまり上手じゃないから」
「あ、敦之っ、さんっ」
本を取り上げた手が今度は服の中に侵入してきてくれる。しっとりとしている指先で優しく脇腹を撫でられて、ゾクゾクって、肌がざわめく。
「拓馬」
「あっ……ン」
ルームパンツと下着を一緒に脱がせてくれるその手の邪魔にならないように自分から腰を少し引いてベッドとの間に隙間を作ると、頭上で敦之さんの低い声が「良い子」って褒めてくれた。
「敦之さん」
身体を起こすと、敦之さんと向き合うように座り直してから、自分から敦之さんに抱きついた。
「あ、の……」
「?」
「待て、してたの、俺の方、です」
そう、小さく呟いて、お風呂上がりでしっとりと濡れた愛しい人の胸に、小さく、そっと口付けた。
「あっ……んっ、あぁ」
はしたないくらいに大きく脚を広げて、敦之さんのが深く突き刺さる度に、甘い声を上げてる。
「あ、あ、あっ、ダメっ、それ」
「気持ちいい? 拓馬」
うん。すごく、気持ち良くてたまらない。もっと、たくさん、俺の良いところを敦之さんの硬いので擦り上げて、いじめて欲しくて、自分からも腰を揺らしてる。
「っ」
キュッて、孔を締め付けると、敦之さんが少ししかめっ面をしてくれるのがすごく好き。俺の中で気持ち良くなってくれてるんだって、すごく感じて、もっと、貴方のことを気持ち良くさせたいと下腹部に力を込める。
「拓馬」
「あっ、ン……あ、はぁっ」
「少し、緩めて」
「や、あっ」
「イきそうだ」
それ、好き。
「あ、あぁンっ、あ、あ、敦之さんっ、の、気持ち、ぃっ」
こんなに綺麗な人が、少し怖い顔をして、「イク」なんて言葉を使ってくれるのが、たまらない。
花のような人の生々しいところを見せてもらえると、嬉しくて、身体が熱くなる。もっともっとって、貴方の硬いペニスに絡みついて、しゃぶりつく。
「敦之さんっ、あ、あ、もっとっ」
貴方に気持ち良くなって欲しい。
俺の身体でイって欲しい。
貴方のこと、俺の何か、どこかで夢中にさせたくて。
「あ、ンンッ、あ、あ、あぁっ」
一生懸命にしがみついて腰を振ってた。大好きな腕に組み敷かれながら、奥までもっと暴いて欲しくて、もっとたくさん抱いて欲しくて。夢中になってしがみついてる。
俺の身体、気持ちいい?
俺のキス、好きですか?
「拓馬」
「あっ……そこっ、ダメっ、激しいっ」
「どうしようか」
「あぁ、ン、っ、? な、に?」
「君が可愛くて困ってる」
「あ、あ、あ、わかんなっ、あ、敦之さんっ」
しがみついて、たくさん、締め付けるから。
だから、俺の身体の奥でイッてくれる?
「あっ、あぁぁっ」
夢中になって抱き付いた。
「っ、拓馬……っ」
耳元で、掠れた敦之さんの声が俺を呼んで、何か、ぼそっと呟いてくれたけれど、繋がった濡れた音に掻き消されて、俺の甘い喘ぎに邪魔されて、ちゃんと聞こえなかった。
「……あっ、ン」
中で感じる愛しい人の熱に痺れて、もう。
「敦之さん……」
貴方のことしか頭の中になかった。
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