36 / 80

16-3 ※鷲尾×晃、初めて、暴力、攻めフェラ

「んッ……ん、痛っ……やっぱり変だよ、これ……指が……あんなところに入っちゃうなんて……」 「まだ一本ですからそれほど痛みはないはずですよ。深呼吸して、力を抜いて……俺に全て身を委ねて」  当然、経験のない晃は、奇しくも鷲尾の言う通りにするしかない。肩で息をしながら、尻穴を自ら開くようにして。  鷲尾もローションをたっぷりと追加して、グチュグチュ音が鳴るようにしてやる。最初は一本から二本。晃の苦しみようを見て、慎重に三本目を挿入した。  そうして鉤爪のように指を曲げながら内壁を擦っていると、眉根を寄せていた晃が甘いため息を漏らした。 「ひゃあッ……!? や……今の、なに……? お尻弄られてるのに、なんか、おちんちんまで熱くなってくるような……わ、わかんない……僕の身体、どうしちゃったの……」  本人はわかっていないようだが、前立腺を刺激したようだ。そして、その感覚と快楽が一致していない。 「さあ……なんでしょうねぇ。ノンケのくせにケツ穴ほじられて変な気分になるなんて、あなたの身体がおかしいんじゃないですか」  鷲尾はわかっていて、あえて晃が狼狽する言葉を吐いた。  そろそろ挿入しても良い頃合いだ。鷲尾は晃の股を大きく開き、覆い被さってほじり尽くしたアナルに完全に勃起したものをあてがう。  いくら浣腸や潤滑油を塗した指でほぐしていたところで、ギンギンに反り立ったペニスの質量には勝てない。  体重をかけた瞬間、晃が叫び出した。 「ひギィッ!! い、だ、痛いっ……痛い痛い痛いぃぃいッ……もっ、むり、こんなの絶対入んないっ、入んないよぉ……っ!!」  堪え性のない晃だとは思っていたが、まさかここまで。子供のようにいやいやと首を振る晃に、鷲尾は無意識の内に舌打ちをした。  ここはぐっと堪えて優しく馴染むまで待ってもいい。ただ、それにはこの蚊のような耳障りな悲鳴を聞いていることになる訳で。  ただ痛めつけるなら、一気にしてしまった方が晃も自分も気持ちが晴れるのではないか。  そう思った鷲尾は、晃の臀部を片手で渾身の力で平手打ちした。それはもう、手のひらの痕が見事に赤く腫れ上がるほど。 「いだあぁぁぁッ!! ヒィッ……!? 怜仁くん、何、して……」 「世の中……もっとつらい、痛くて苦しいことがある方が、目の前の困難なんて屁でもなく思えるってもんなんですよ。……そら」  晃がスパンキングに悶絶しているのを良いことに、鷲尾は挿入途中だった怒張を奥深くまで一気に突き込んだ。 「ひぐぐぐぐぐゥウッ!?!?」  案の定、別の感覚に集中していた晃は、身体の中心を熱い棒で割り裂かれる感覚を既に忘れそうになっていたみたいだ。  目をひん剥き、軽く胃液まで吐いている。 「痛ッ……きつ、苦しいっ……! お尻すごい広がってる……っ! お腹、が……怜仁くんので、熱い……ッ」  直腸の深いところまで一気に貫いてやったのだ。アナルバージンの晃にとっては、十分すぎるほどの苦痛だ。 「ああ、そうだ。さっき手マンしてた時に、立派に感じてましたよね。チンポでもそこを執拗に擦られたら、どんな風になるんでしょう」 「っ……!」  今は快楽を得ることが恐怖である。そんな晃の逡巡などお構いなしに、鷲尾はいったん腰を引き、浅い部分の肉壁を雁首で刺激してやった。 「ひっ、ぁ……やっ……。うぁ……くうぅぅ……っ」  やはり未知の快感はあるようで、鷲尾の肩に爪を立てて、襲いくる波を我慢している。  そんな晃の顔を見て、鷲尾は片手の拳でぶん殴った。特段腹が立った訳ではないが、無性にそうしたい気分だった。 「痛ッ……!? な、なにっ……」 「両親を失った俺の方がよっぽど哀れでつらいのに、あなたはどうして男に犯されて感じてるんですか、ええ? そんなことで奥様に顔向けできるんですか」 「それは……」  浅い抽送から、だんだんと深いストロークへ。晃の直腸は鷲尾のものに馴染みつつあった。 「ぁうっ……! ご、ごめんっなさい……ごめんなさい……! 怜仁くんが傷付いてるのに、僕は……こんなに恥ずかしい姿を……っ。ごめんなさいっ……!」 「……フン」  せいぜい順々な性奴隷を徹底することで、鷲尾の凍り付いた心を解きほぐそうとでもしているのだろうか。相変わらずずいぶんご立派な精神の持ち主だ。  しかし、気持ちが良いのは鷲尾も同じだった。  経験豊富な鷲尾ながら、やはりどうにも晃とは身体の相性が抜群に良いらしい、と己の張り詰めたものの熱を感じながら思った。皮肉なことであるが。童貞の時だってこんなに感じたことはなかった気がする。  どんな人間より、玩具より、明後日な考え方をする晃を征服している方が良いなんて。それだけは我ながらとんだ計算違いだし、人生わからないものだ。 「さて……そろそろ……イキそうですよ。このまま中でいいですね」 「ひッ……!? な、中ぁっ……!? それは駄目っ!」 「はぁ? そんなの俺の勝手でしょう? というか、子供が欲しいなら奥様には中出しし放題の奔放な性生活なんですよねぇ? どうして俺だけ除け者なんですか」 「それとこれとは違っ……あ、あぁ、だめだめだめぇっ!!」  鷲尾の動きが激しくなってきたことから、晃も彼がこのまま射精しようとしているのだと察した。  もがく晃が逃げられないよう、それこそ恋人のように強く抱き締めて、ガツガツと初心者アナルを掘りまくる。  晃の中はきつく、搾り取るかのような動きで鷲尾のペニスを刺激する。鷲尾は心のゆくまま、精を放出させた。 「どうです? 男に中出しされた気分は」 「ぅ……き、きもち、わるい……」 「気持ち良いの間違いでしょう? 何せ初めてであんなに感じたんですから」  相手が相手なら、嬉し涙さえ見せるというのに。素直すぎるというか、空気が読めず失礼な男というか。 「まあいいか。終始気持ち悪いだなんて思われても、ねぇ……。じゃ、今度は正真正銘良くなりましょうか」  晃から退いて、股は開かせたまま──というより無理やり押さえ付けながら、鷲尾は晃の萎えたペニスに顔を近付ける。長く出した舌でベロリと蛇のように舐めしゃぶると、晃の身が固まった。 「あぁっ……! ちょ、待って、そ、そんなことしなくていいからっ」  慌てて止めようとはするが、もがくたびに中出し精液が溢れてくるのは晃も不快なようだ。どうしたらいいのか、そもそも鷲尾がどうしてそんなことをするのか、混乱の極みにいる。  ただし、尻穴と違って、男として自然に反応するようつくられている場所を責められるのは、先と比べればそれほど嫌ではないようだ。  じっと唇を結び、目を瞑り、声を荒げないようにはするものの、鼻から抜ける声が漏れる。どんどん芯と熱を持って、我慢汁さえ溢れ出しては、それを思い切り啜られる。 「あぁあああっ! それ、や、やめて……恥ずかしいよっ……! んんっ……も、やだ……僕のことはいいからっ、終わらせて……」 「立派におっ勃てておいてそれはないでしょう。さあ、最後までしてあげますから、全部吐き出して」  晃の懇願も虚しく、鷲尾は激しいフェラチオを始めた。頬を窄めて真空状態にし、夫婦生活でさえおおよそ味わったことのない快感をひたすら送り込む。 「はーっ……はぁっ……あぁあっ、怜仁くんだめ、本当に出ちゃうからっ……だめぇっ!!」  もう耐えられないといったように、晃が渾身の力で鷲尾から逃れた。その瞬間にぶるりと震えた先端から白濁が迸り、鷲尾の顔を汚した。 「わっ……! ぁ、あぁ……! ごめ……」  いくらなんでも、顔射などしようと思っていなかったのだ。晃が精液を拭おうと手を伸ばしてくる。  だが、顔に届く前に鷲尾はその手首を掴む。 「あなたが勝手にかけたんでしょう。責任持って舐め取ってください」 「…………」  少し躊躇したのち、晃は鷲尾のひんやりした顔面におずおずと舌を這わせる。 「チッ……なにチンタラやってるんだ。早くやれよ。キスしてるみたいでそれこそ気持ち悪いんですよ」  鷲尾の口調が荒くなったのを聞いて、晃の肩がビクッと大袈裟に跳ねた。 「ご……めん……怜仁くん……ごめんね……」  何を謝っているんだろうか。  俺をこれ以上怒らせない為? それとも本当に自分の粗相を申し訳なく思っているんだろうか。後者なのだとしたら、やはりこいつは頭のネジが外れてるんじゃないかとさえ鷲尾は思う。  元はと言えば鷲尾がこの体勢を強要したせいではあるが……まあ、それを責められたところで晃に責任転嫁するつもりだったし、そんなことまで今の晃に思い浮かぶ余裕はないだろう。いつもいつも目先のことしか考えない馬鹿なのだから。 「あー。ヤることヤったら腹減った。なにか夜食ないですか? って、俺がわざわざ聞く必要なんてないか。適当に冷蔵庫や食器棚漁りますね」  下着だけ身に付けて他人の部屋をウロウロし始める鷲尾に対し、晃はシーツにくるまって嗚咽することを抑え切れなかった。

ともだちにシェアしよう!