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25-3 ※鷲尾×晃、焦らし、鷲尾×美鈴描写

 向こうがその気なら、問題はない。  手足の枷を外してやる。そうしても、やはり晃は何もしてこなかった。  どころか、両手で鷲尾を抱き締め、さらなる行為をねだってきた。 「……ふふ、そんなに欲しいのか、このチンポが」 「ほ、ほしっ、欲しいぃぃいいっ! もっ、全部だめなの、おかしいのっ、そのオチンポがないと僕は……」 「僕は?」 「僕……は……どうなるんだろう……」  ふっと考え込んでしまう晃。 「きっと……どうにもならない……後戻りなんて、できない……だから……。だからっ、僕はせめて……君の……怜仁くんの傍にいたい」 「それは本心で言ってるのか? 俺にとってお前は、好きな時に犯せる都合の良い存在だとわかっていても?」 「うん……それで君の気分が晴れるなら……」  嘘だな。ただこいつも欲望を満たしたいだけ。  ノンケでありながら男に犯されて感じてしまうことを繰り返し、目覚めてしまったんだ。  これは所謂ストックホルム症候群のようなものに近くて、だから鷲尾なら何をされても良いけれど、他の者に鷲尾の名を一切出さずに暴行されたら、最初のうちは嫌がるだろうが……そいつらに心を明け渡す日が来る。  母親が死んでから、すぐ誰かに依存するようにしか生きられなくなった晃。  人の心以外は何だって父親に金で買ってもらえて、我慢を、手に入らないものを知らないし、それが彼の常識。いつまで聖人君子ぶっていられるのか見ものだ。  その証拠に、さっきまでガツガツと掘っていたものを全く動かずにいると、晃はあまりにも残酷な生殺しに身悶えた。 「はぁっ……ぁ……な、んでぇ……怜仁くん、動いてくれないの……こんな状態、もどかしいよ……つらいよぉっ……」  晃自身も緩々腰を振ってなんとか動こうとしているが、なかなか上手くはいかない。  やはり鷲尾に無理やり組み敷かれ、動物の交尾のように激しい抽送をしてもらえなければ、気が狂いそうなのだ。 「……それなら……家族はもう必要ないな」 「え……?」  淡白で低い声音が風呂場に響く。 「俺が特別なら、パパもママも美鈴ももうどうでもいいよな? あいつらなんて捨てて、一生俺に仕えるよな?」  家族の存在は、晃の理性の最後のブレーキとなる。  晃の逡巡が正常な思考に辿り着く前に、抽送を再開する。すっかりとろけたアナルを再びゴリゴリと掘削されて、晃はのけ反った。 「ひぎぃいいっ! く、ぁ……怜仁くっ……ご、主人様ぁっ! 気持ちいいっ! それっ、そこ、ケツマンコズボズボされるの気持ちいいですぅっ!」 「気持ちいいよなぁ? でも家族を取ったらこのチンポはなくなるんだぞ? 今後お前を犯してくれる奴はいても、俺はお前の前から消えて、二度と現れない」 「うそっ……や……やだ……怜仁くんがどこかにいっちゃうなんて……そんなのは嫌だ……」 「じゃあどうする? 答えは決まってるよな?」  言いながら、ガツンと一気に結腸口に亀頭がめり込むまで腸腔を抉ってやった。 「ひあおぉおおお゛ッ……!? あぁっ、はいっ……! もう、どうでもいいっ……! パパもママも美鈴もぉっ、いらないぃぃっ! 僕には怜仁くんだけっ! 怜仁くんだけなのぉっ! うわああぁぁあああッ!!」  そう無様に泣き叫ぶ晃に、どくん、と胸が高鳴った。 「ヒヒッ……よく言えました。ご褒美に中出ししてやるよ。俺のザーメン欲しいよなぁ?」  晃はこくこく必死に頷いた。  こちらももう限界だ。息を荒げることを抑えず、晃の直腸で膨れ上がったものを擦りまくって、そのまま彼の中で果てた。  一滴も残さないよう、搾り取るかのような動きさえ見せる晃の中は既に奴隷そのものであった。 「んあぁぁぁッ……熱っ、あづい……怜仁くんのザーメンがぁっ、お腹いっぱいぃぃ……はぁっ……もっと……もっと、してぇ……ぁあ、ぁ……」  気絶寸前のような弱々しい声で、晃がさらなる行為を求める。視線はとっくに宙を向いているし、壊れかけだ。  彼にとっては、これで愛しの「怜仁くん」が手に入った。良かったじゃないか。 「はは……あは……アーッヒャッヒャッヒャッヒャ!! ざまぁみろ篠宮輝明! お前の息子はもう俺の言うことは何でもするクソチンポ奴隷! これほど自業自得って言葉が似合う奴もそうそう居ないよなぁ……首を洗って待っていろ……ああ、その前に美鈴をどうにかしなきゃな……くくく……」  狂った笑いの止まらない鷲尾に、もはや晃の涙はとめどなく流れ落ち、自ら腰を振る肉人形と化していた。 ◆  晃が唐突に記入済みの離婚届を残して帰って来なくなってから数ヶ月。  無論、胎児の成長は止められる訳がなく、美鈴のお腹は日に日に大きくなっていた。  そのせいで、晃がどうして出て行ったのか、本当に浮気をしていたのか、自分とお腹の子はこれからいったいどうすればいいのか。  美鈴とて女だ、アナウンサーとしての知的な彼女はどこへやら、病的なまでに追い詰められまともな思考力さえ奪われてしまう。  今は育児休暇中であるから良いが、とても世間様に見せられたものではない。  それを支え続けたのも皮肉なことに鷲尾だった。健診にも毎回付き添ったし、美鈴が体調の悪い時は家まで出向いて看病した。  事態を聞いて晃と篠宮家に激昂する美鈴の両親にも挨拶に行き、必死になだめ、そして晃がいない今は自分が美鈴に必要なのだと、成田家を洗脳していった。  そんな日々を送った結果、優しい美鈴は、まだどこかで晃を信じたいと思いつつも、鷲尾に惹かれるようになっていた。  美鈴は今日もリビングのソファーに座り、離婚届を死んだような瞳で見つめていた。愛する夫との子の胎動を感じるたびに、涙を溢れさせて止まらなかった。  そんな美鈴を、隣に座った鷲尾はそっと抱き締めた。 「悲しいけれど……俺達は、こうなる運命だったのかもしれません。……美鈴」  初めて美鈴の名を敬称を付けずに呼んだ。  けれど彼女は一瞬驚くような目で見ただけで、すぐにそれを受け入れた。これも日頃の親交の成果と言えよう。 「篠宮さんがいるから、あなたへの気持ちをずっと我慢していました。でも……。篠宮さんがその気なら、俺だって本気であなたと接しても良いはずですよね……」  これならいける──そうして肩を引き寄せ、軽く口付けても、嫌がる素振りは見せなかった。 「俺は篠宮さんとは違いずっと傍にいます。あなたとこの子を守り抜くと誓います。だから……」  美鈴が離婚届に判を押したのは、その夜のことだった。

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