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26-1 ※鷲尾×美波、キメセク、快楽地獄
「……すり……くずりぃ……くすりもっとちょうだい……うひ、うひひひひひ」
犬のように四つ這いになって首輪を嵌められた男は、ハァハァと涎を垂れ流してその時を待った。
腕にいつもの注射が打たれると、「ありがとうございます、ありがとうございます」と、本来は忌むべき人間達に繰り返し感謝さえした。
そうして、薬が効いてくると、誰彼構わず肉体関係を求めた。反対もしかりで、薬が欲しいが為に積極的に性的奉仕を行ったりもした。
それが現在の美波薫雄だった。
◆
ある日当然呼びつけられ、舞台の上で椅子に全裸で縛り付けられても、美波はずっと笑っていた。
なにがどう面白いのか美波自身、わからない。ましてやこの状況が異常であるとも、一切思っていないだろう。
鷲尾の目の前にいるのはあの、正義感に溢れた温かい笑みを見せていた美波とは別人なのではないかというほど、醜くやつれた姿の男だった。
美波は既に末期の麻薬中毒者だ。精神も、肉体も、もうズタボロだった。
腕には無数の注射針の痕、肌色、目つきや言動までもが全ておかしい。
このまま放っておいたって、美波の求めるまま薬を与え続けたって、死が訪れるのは時間の問題だ。
「おおお゛キメセクぅ! キメセクきもちいーよぉおおおッ!! ハァッ、ハァッ、くしゅりさいっこうなのぉっ! 何もかもぶっ飛ぶぅっ!!」
鷲尾達は使ったことはないのでさっぱりだが、薬物セックスは通常より感度が高まりとんでもなく気持ち良いらしい。
研究対象など余るほどいるものだから、自分は死んでも薬なんてやるつもりはないが。
「あぁッ゛、あ~~ッ! またっ、またイクイキすぎて壊れる死んじゃうううぅぅんほぉおおおーーーおおおぉぉおおおッ!!」
今の美波には、肥大化した乳首へ振動や電流刺激を与える為の洗濯バサミ型機械が取り付けられていて、尻穴には極太のバイブと、尿道にはパール型のローターが埋め込まれている。
薬の影響で、イッてもイッても満たされないもどかしさは十分味わっている美波。
それにしても最近は気分で寸止めされたり、逆に気を失ってもなおやめてもらえないなどといった、あまりにも無慈悲な快楽拷問遊戯が続いている。
狂いそうな快感に身悶える美波の傍に立って、鷲尾は会員達へおあつらえ向きの笑みを顔面に貼り付けていた。
美波の凌辱は、あくまで障害を排除する個人的な行動だった。
少しはこうしてクラブにも貢献しなければ。いや、した方が己の為になる。
だから、前もってこうしたショーを企画し、提案した。それを最終的に現オーナーである霧島想悟の承諾を得、スタッフ達の力も借りて此度に至る。
想悟は今、上層のオーナー専用席にいるはずだ。
そちらを見上げても顔は見えなかったが、存在は認識できた。この舞台を見つめて、何らかの考え事でもしていることだろう。
ならば、彼をも満足させる宴になるよう、努力は惜しまない。
「本当に楽しそうですねぇ、美波さん。このまま良い子にしていれば、今日は満足するまでイカせてあげますからね」
「ほ、ほんどお゛ッ……? イゲるの゛ッ、もっといっぱいイケるっ、うれしっ、うひぃいいいっ!!」
美波は汁まみれのぐちゃぐちゃの顔を歪ませて咆哮する。
「乳首もチンポもケツマンコもいいーーッ! しゅごっ、感じすぎれぇっ、おかしぐなるっ……もう、おかしいのにいぃぃ……たまんないのおぉおおおほぉっ!!」
もはや勃起クリトリスくらいには変わり果てている乳首が、刺激し続けられて赤い果実のように熟れている。
こんなにも肥大化して本人が気持ち良さそうにしているのを、触らない訳がなかろう。
底意地悪く洗濯バサミを思い切りつねり、引きちぎるかのごとく捏ね回す。
「おほぉおおおおおっ!? さささ触っちゃあ、らめええええっ!! ちくびちぎれっ、取れるううううひいぃいイイイイッ!!」
痛みと紙一重の強烈な感覚に、美波は髪を振り乱す。もはや母乳でも出すんじゃないか、という勢いだ。
微弱の低周波電流も流れていることから、乳首がひとりでにピクピク震えるのがなんとも滑稽だ。
両方の洗濯バサミ式機械を取ってやると、次に銀色の細く鋭利なものを取り出す。
「はっ……はっ……はぁ……な、に、それぇ……?」
「針ですよ。ええ、それはもう、何の変哲もない」
用意したのは医療用のものだ。こんなものでも、美波はきっと狂おしい反応をする。
「普通は痛くてたまらないだろうけど……あなたなら感じてイッちゃいますよね。ねぇ? ご自分でもそう思いませんか?」
「…………ッ」
その言葉の通り、美波は期待にゴクリと生唾を呑んだ。感じる己を想像してか、針に一点集中し、いびつな笑みさえ見せて。
もはや感覚が麻痺しているだろう両方の勃起乳首に、ゆっくりと針を突き立ていく。つぷ、と少量の血液と共に針が美波の乳首に突き刺さる。
「どうですか? 痛い?」
「……ぁ……あ、あぁ、あぁあっんはぁ……」
美波の呼吸がまたどんどん激しく、甘いものになってくる。
針は何の改造もしていないけれど。
先には消毒液と共に麻薬──言うなれば媚薬を塗っている。ヤク中がこれで反応しない方がおかしいというものだ。
「ああぁっ、あつい、なにこれ熱いっ! 乳首がジンジンってする! は、針刺されたところの奥からなにかきちゃうっ! 火傷するぅっ!!」
息を吹きかけ、優しく撫でさすったただけで、美波は汗まみれの肢体を妖しくくねらせた。
普段なら気にしない程度のほんのわずかな刺激でも、美波には悶え苦しむほどであった。
「はひィイイイッ! ちくびイッた! ちくびでイッだあ゛ああぁぁああッ!! もっ、もう、苦しっ、息、できなッ……でもきもひいいいいいいーーッ!! もっと! もっと酷くしてっ弄んで元に戻らなくなるくらい壊してぇっ!!」
もうとっくのとうに壊れてるんだけどな。
そう内心ごちる鷲尾だったが、人格は破壊できてもまだ本物の肉体破壊の余地があることを知っていた。
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