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友達でなく 羽鳥と特別になりたい、ずっとそう思っては中々、行動に移せずにいた だけど俺だってッ 「そ、そんじゃ貰っとくなサンキュー」 喉が鳴る あくまで平静を装い手を伸ばす 自然で、偶然にみせかけて 羽鳥の手に狙いを定めて (猿じゃねぇけど、俺だって羽鳥の手が握りたいんだッ) バックンバックンと音打つ心臓が羽鳥に聞こえるんじゃないかと、堪らずギュッと目を瞑り ストラップを貰うようにして、羽鳥の手を取った (暖っかーーーい!!!) 「おい…」 「ん?」 耳障りな声が聞こえ、瞑った目をうっすら開けてみれば、思ったよりもしっかりとした男らしい手が目の前にあって 骨張っていて案外大きくて、健康的な小麦色を‥した‥‥? 「いつまで握ってんだバカ犬ッ」 頭上から降ってきた耳障りな声に思考が一旦停止する (いやいやいやいや…) 今、一瞬頭に浮かんだ恐ろしい予感 油が切れたブリキの様にギギギィー‥と視線を上げて見れば 「早く離せバーカ」 見たくもない奴の顔を俺の目に捉えてしまっていた 「こ、この猿ッ、テメェなんでまた居んだよ」 「は?お前の許可ねーと駄目なのか?これだからバカ犬は‥‥ってか、手!」 「へ?」 「は・な・せ・よバカが」 「ーーッ!!うげっ、誰がテメェの手なんか進んで握りたいか!つーか、俺のひそかな想いを打ち砕きやがってぇええ」 「ふん…お前の想いなんか知るかッ! 羽鳥がなんか持ってるから、何かと思って手出したらお前に握られるし、マジ最悪。 あっ、ヤベ早く手洗って来ねーと‥‥腐るな」 「カッチーーンッ表出ろこのエロ猿ッ!」 「チビ犬がッ、受けて立つ!」 一日何度となく繰り返すこのやり取り 周りで見ていた連中に囃し立てられ 女子からは、またか…と呆れられ 俺がこの世で一番嫌いな奴 天敵、猿倉に掴み掛かってまた無駄な時間が過ぎて行った ■■■■■■■■■■■■ 〝犬井くんと猿倉くん居るところ喧嘩あり”と噂がある程、日々喧嘩三昧です

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