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第2話 - ①
喧嘩するほど仲悪い
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「なんでテメェと組まなきゃなんねーんだよ」
「そのままそっくり返す。それよりも手ぇ動かせ、また怒られるだろうが」
「分ーーってるよ!」
コイツに言われなくても百も承知だって
ただでさえ猿の顔を見てるんだ
さっさと終わらせたいってーの
と言う今は、美術の授業中
二人ペアになり膝を付き合わせてのスケッチは、何故かみんなワイワイ楽しそうにしている
俺も
と、なるはずだったのに…この猿のせいだ
「早く2人一組になれ〜
お互いの顔をスケッチしたのを今日提出してもらうからなぁ」
先生から発せられた課題
さっそく羽鳥とペアを組もうと思い気や
「羽鳥、俺と組まないか?」
猿がほざいた
「ちょっと待ったーーッなんでお前が羽鳥と組むんだよ」
「は?」
「羽鳥と一緒にやるのは俺なんだよッ
授業が始まる前から決まっていた決定事項。
テメェの入る隙間なんてこれっぽっちもねェーんだよ!」
「バカか?寝言は寝て言えって」
「ムっカッ!上等ゴラァッ今日こそケチョンケチョンにぶっ倒してやる」
「はっ、やれるモンならやってみろって。メッタメッタに返り討ちにしてやる!」
バチバチッー‥
と、視線がカチ合う場所で火花が散る
ゆっくり吸った息をグッと止め
いざッ、踏み出そうとした時
「痛でッ」
「ぐ、あ痛ッ」
脳天に突き抜けた鈍痛
そして俺達の後ろには、仁王立ちで教科書を縦に構えた先生が睨んでいて…
「おい‥‥そこの2人、教室出て行くか?それとも、今すぐ席に着いて静かに授業を受けるか?どっちにする?」
それがあんまりにも恐くって
周りを見れば、羽鳥は別の奴とすでに組み
あぶれているのは目の前の猿のみ
だからこうして今、仕方無しに嫌いな猿の顔を書く羽目になっている訳で。
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