12 / 35
第4話 - ①
犬井くんの恋心
■■■■■■■■■■■
「羽鳥なに読んでんの?」
授業が終わって休み時間、羽鳥のとこに行くと熱心に本を読んでいた
「あ、これ?従兄弟からマンガ貸して貰ったんだ。面白いよ〜、イヌイも読む?」
笑顔で「はい!」と、マンガを差し出してくれたけど…
「あーー読みたいけどさぁ羽鳥、それ1巻じゃないし」
「あははっ、そっかー!」
「ぐっ…」
照れて笑う姿が‥‥
(ぐぅ可愛なんですけどーーーッ)
はぁぁあ癒されるッ
このボケッぷりも、暖っかい笑顔も最高
中学からずっとこんな感じの羽鳥は、みんなのマスコット的な癒される存在で
それは今も変わってなくて
いや、前以上にパワーアップしていると思う
「このマンガ、すっごい面白いんだけどなぁ」
見た目は可愛いのに、中身は相手のことを自分のことの様に真剣に考えて行動に移す男っぽい面もあって
そんな羽鳥の事がどんどん好きになっていくのは必然で、今も笑顔を見ただけで心臓が速くなる
(羽鳥と付き合う事が出来たら…)
猿みたいに俺だってじゃれた拍子に抱きつきたい
いや、まずは手を繋いでから段階を踏んでと
それから…
「イヌイ、だったらさ今日家においでよ。
全巻貸してもらってるから、ゆっくりオレん家で読もうよ」
「おう!‥‥‥‥って、えぇ゙え゙ッ!」
夢?これ、夢か!?
これって、あわよくば
(手ぇ、握っちゃったり…)
「あっ、そうそう。今日さぁ、みんないないんだ。母ちゃんは旅行で父ちゃん出張だから、いっぱい遊べるよ!」
「へ?‥‥ーーーーッ!!!」
手握るどころの騒ぎじゃねぇッ
ともだちにシェアしよう!