13 / 35

そして…   「どうぞどうぞ!」 「ぉ、おッ、じゃまっしまーす‥」 羽鳥に誘われてから、授業なんてものは身に入る訳もなくって 放課後になるまで長かった 最後の授業が終わるチャイムが鳴って、すぐにでも羽鳥の元に駆け寄りたい衝動をグッと我慢 天敵に悟られたらそれでこそ そして、猿が女子に囲まれたのを見た瞬間 ここだっ!と体が動き 羽鳥を急かし、一緒に連れ立ってそして晴れて羽鳥のお家に来る事に成功した俺は… (うわぁああ、なんか緊張してきた!) よく遊びには来てるけど、友達が多い羽鳥の人脈か二人っきりは実は初めてで さっきからドキドキが止まらない 「イヌイ、オレの部屋行ってて。ジュース持って来るから」 「お、おうッ!」 羽鳥の部屋は二階にある キッチンに向かった羽鳥を見送り、階段を少し上って、ハッとした 「羽鳥、やっぱ俺も手伝うー‥」 「うわぁあッ!!」 ガッシャン、バリンッ ガラガラガラ‥‥ 遅かった 羽鳥の悲鳴と、食器が割れる音が響き渡って キッチンを除けば案の定 「羽鳥?」 「えへへ、またやっちゃった」 床にジュースの水溜まりに、周りには大量の破片が散乱 そのど真ん中で尻餅を着いた羽鳥が 可愛く笑っていた 「あ〜羽鳥、大丈夫か?怪我ない?ここ片付けておくから、羽鳥はシャワー浴びて来いよ」 「うん。イヌイ…ゴメン」 「気にすんなって。ほら、ジュースでベタベタなんだからサッパリしてから遊ぼうぜ」 「うん!!」 典型的なドジっ子の羽鳥 何かするたびに無事だった事はなくって、でもそこが目を離せれない羽鳥Loveなとこの一つ あらかた片付いて、羽鳥の部屋に入った時 トントントンッ と、階段を上がる足音 そして 「イヌイ、お待たせ!さっぱりした」 ホカホカの湯気を立ち上らせた羽鳥が後ろから現れたのはその時だった

ともだちにシェアしよう!