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第5話 - ①

相容れぬ仲 ■■■■■■■■■■■■■■■ 俺がちょっとトイレに行った隙に あいつは あの野郎は あの猿はッ!!! 「羽鳥、お前ちゃんと食ってんのか?細いな」 「うわっ、地味に小さいって言ってるように聞こえる〜」 「ハハッ、だってよ俺の中にスッポリおさまるし」 って、笑いながら羽鳥を後ろからギュッて抱きついていた 教室だろうが、人が居ようが関係なしで 好き勝手する猿倉にブチ切れた俺の耳に 『キャーーッ』 そんな、けたたましい黄色い悲鳴が鼓膜に突き抜ける 『絶対あの二人‥‥』 『だよねだよね!』 女子達がいらぬ妄想をしてるが、そんな事天地がひっくり返ってもあってたまるか そして猿はあろう事か… 「羽鳥、お前地毛?色素薄いよな?猫っ毛だし、柔らかくて‥」 「うん、ってかシシクラくすぐったいって。ちょっ、アハハッ」 「ほら、暴れんなって。癖になるな…気持ちいい」 あッ!アァアアッ!! あの野郎ッ 『キ、キャーーーーッ!!』 さらに耳をつんざく女子の声が 教室を飛び越え廊下まで響き渡る 羽鳥の髪をいじるだけじゃ留まらず 俺だってやりたいランキング堂々の上位を占める、髪に顔埋めるなんて事を… (もぉおおおッ我慢ならねえっ!) 俺の堪忍袋の尾が切れた 怒りで腹の底から震えが走り 食いしばった歯からはギリリッと骨が軋む 決闘だ 奴に決闘を申し込む 羽鳥の為に 俺と羽鳥の未来の為に あの猿を打ち倒す

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