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第8話 - ①
相手を知る、それが攻略の一歩
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嫌いな奴の事を知りたいとは誰も思わないだろう
でも俺は違う
奴をコテンパンに出来るなら、卑怯と言われようが怪我をしている箇所を狙う事だって出来るし
もちろん弱みを握る事だって…
そう思う出来事が起きたのは
この間の体育の授業
チーム対抗のバスケの試合中に
羽鳥がボールを追いかけて見事にすっ転んだ
すぐ立ち上がってはいたけど、変な立ち方で
(羽鳥ッ、足くじいたかも…)
心配になって自然と足が動き、駆け寄る
でも、俺よりも早く猿が羽鳥のもとに着き、そして…
「ったく…大丈夫か?保健室行くぞ、羽鳥」
「え?え?ちょ、シシクラ!?」
あ…
ぁあ、ぁあああああっ!!
あの野郎は
羽鳥の腕を取ったかと思ったら、腰に手を添えて、膝を掬うように持ち上げた
反射的に羽鳥も猿倉の首に腕を回し、体を寄せて顔を埋める
(それはダメだって!!!)
みんなが見ててもお構い無しの顔をした猿は、羽鳥をお姫様抱っこしたまま先生に保健室に行く事を伝えて、颯爽と体育館からいなくなる
それはあっという間の出来事
猿倉の行動はあまりにも様になっていて
反対に何にも出来なかった自分がすごく情けない
居ても立ってもいられない俺も、すぐ保健室へ行こうとすれば先生から止められるし
授業中とは言えどもお姫様抱っこした様子を見た人がいて、その後『あの2人は付き合っている』そんな腹立たしい噂がとにかく拡がった
その噂に茶化され
噂に便乗しては猿が今までよりも羽鳥にベタベタベタベタ触るは、抱きつくは…
(ぐわぁああああッあのエロ猿がッ!あんだけ羽鳥に触るなチョッカイ出すな言ったのにッ)
この腹わたが煮え繰り返ってどうにかなりそうで
猿に痛い目見せてやりたくて
やるなら徹底的に
(そうだっ、弱点だよ)
猿の弱点を攻めて攻めて攻め込めば
やり返せる
そう思い、俺はエロ猿の弱点が無いかを探す事にした訳で…
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