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怒りの日曜日

日曜日。 朝から携帯が何度か鳴っていたけど、オレは完全に無視していた。メールも何度か来たけど、見ようとはしなかった。 怒りで寝ることが出来なかったから、ほぼ徹夜でPCをいじっていた。家庭教師として何をすればいいかを調べて、効率のいい方法をメモしていく。 満足の行く方法がわかるとPCの電源を落とした。 冷蔵庫の中を整理し、日持ちのしないものを怒りにまかせて捨ててしまう。 貧乏生活をするオレには暴挙といえる行動だが、怒りがオレを突き動かしていた。 家の掃除を徹底的にする。 風呂そうじから、台所を磨く所まで、とにかく体を動かさずにはいられなかった。 その間もメールや電話が来る。 その度に怒りが掻き立てられて、疲れた体に鞭打って作業を黙々と続けた。 荷物をバッグに詰めて、ばあちゃんへの定期連絡をする頃には、もう夜になっていた。 「課外が終わったら、すぐ帰るつもりだったんだけど、同級生の家庭教師をすることになったんだ」 「バイト代も出るみたいだし」 「うん。身体は大丈夫」 「お盆は帰るよ」 心配するばあちゃんをなだめて、電話を切る。 シャワーで一日分のホコリを落とすと、タオルで徹底的に身体をこすり、最後の洗濯をする。 洗濯を干し終わると、部屋の電気を消してベッドに横になった。ベッドライトをつけて、眠くなるまで参考書を読む。昨日は寝ていなかったから、案外早く眠気がやって来る。オレはベッドライトを消した。 眠りに落ちる瞬間、携帯がぶぶぶって震える音がした。音はもうとっくに切ってしまったから、バイブ音だけが何度か鳴って、切れる。 オレの意識も同時に切れた。

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