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第5話
東條家に仕える者としての仕事は決して少なくない。
普通のサラリーマンよりは安いであろう月給だが、衣食住も提供されていることを考えれば、むしろ貰いすぎているような気もする。
使用人として七世を雇っている東條家の大黒柱、東條 雅史 は、瑛が生活をしている家の一室を七世の部屋にするだけでなく、それとは別にマンションの一室を七世の生活スペースとして与えてくれていた。
瑛の学校がある平日はほとんど東條家の部屋で過ごすだが、土日は食事の準備を済ませてこちらに帰ってくることもしばしばある。
この部屋には、契約をした際に雅史が入ったくらいで、瑛も入ったことがない。
生活に必要な最低限度のものが揃えられているだけで、他人に見せられるような部屋ではない。
「…まずは洗濯だな」
瑛を学校へ送り届けた七世は、ため息混じりにそう呟いた。
洗濯カゴに放り込んでおいたシーツは、汚れた部分がすっかり乾いてカピカピになっており、さらに七世の気を滅入らせた。
桶に水をため、そこにシーツを浸ける。
シーツを手洗いする頻度は最近増えており、それはつまり七世の身体的影響も少なくないことを意味していた。
腰痛と戦いながら一通りの家事をこなすのは、辛くないといえば嘘になる。
瑛とセックスをするのに、自分でも不思議なくらい抵抗はなかった。
キスをされたあの日から、いやきっともっと前から、どこか寂しげな彼が可哀想で仕方なかった。
だから彼の孤独を埋められるなら、どんな事でもしてあげたいと思った。
愛なんて微塵もない、ただの同情。
だけど幼い瑛の心の穴を埋めるには十分だ。
こんなことがバレたら、と思わない日はない。
あの瞳に見つめられると、そんなことどうでも良くなるほど__堪らなかった。
瑛とのセックスは嫌いじゃない。
普段ほとんど感情を表に出さない彼の、快楽に顔を歪める瞬間がたまらなく好きだ。
こんな自分を求めてくれる人がいるということだけで、こんなにも心が満たされるのだ。
やめられるはずがないだろ?
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