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第2-1話彼との出会い

   ◇ ◇ ◇  新設した孤児院へ視察したあの日、私は奇跡に出会った。  私に心からのお礼を伝えたいと、中庭に並べられた孤児たち。  その中の一人に私のすべてが奪われた。  大きな声で口々に「宰相さま、ありがとうございます!」と孤児たちが感謝を告げる中、彼だけはどこか恥ずかしげに顔を逸らし、小声でボソボソと話していた。 「……院長、彼は?」 「も、申し訳ありません! あの子は〈――〉と申しまして……いつもは年下の子たちの面倒をよく見てくれる、とても優秀な子なのですが――」  白髭を蓄えた老院長の声が、次第に私の耳へ入らなくなっていく。  短いながらも波打つ金髪。くっきりとした力強い青の眼。太く凛々しい眉に気が強そうに引き絞られた唇。立場のある者を面白く思っていないのか、私に向ける視線は細剣の切っ先よりも鋭利だ。その目つきですら、権力にしがみつく老害たちを睨み、挑む時のあのお方と同じものだ。  あまりに似ている……私が敬愛し、すべてを捧げる王に。  唯一違うのは、日に焼けた浅黒い肌。  それさえもう少し白くなれば、我が王の少年期に生き写しだ。  きっと成長すれば、ますます王の姿へと変わるだろう。  どれだけ恋焦がれても添い遂げることはもちろん、私から手を伸ばして触れることができないお方と同じ姿に――。  頭が望みを抱くよりも先に、私の体は勝手に動いていた。

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