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第4-1話●手切れ

   ◇ ◇ ◇  孤児院から出られるのは、十五で成人となった時。  ただし優秀な者は十五を迎える前に外へ出ることができた。  彼は私と出会って一年経たずで、最低限の力を身に着けてくれた。  頃合いを見て私は孤児院に、彼を雇いたいと申し出た。  表向きの理由は、下男として屋敷の雑用をしてもらうための雇用。  本当のところは城ではなく、私だけに仕えさせるため。  外の者は誰も私の真意に気づかなかった。  気づくことができたのは、私を陰ながら守ってくれる黒衣の護衛たち。  そして私を慰める役目を与えた、王の面影を持つ男――。 「……あ……っ……ふ、ぅ……ッ……」  昼下がり、私は屋敷の寝室で男に抱かれていた。  外からの光を遮る窓掛けをしていても、部屋の中は適度に明るい。私を満たそうと必死に腰を振る男の顔がよく見える。  いつもは口元を綻ばせ、目には恍惚の色を宿しながら私の中を穿つのに。今は眉間にシワを寄せ、どこか泣きそうな顔で私を抱いている。  元は兵士。王の顔に少し似ていたから声をかけ、私的に雇う護衛として傍に置いた。  よく私に応えてくれていたと思う。この顔を見られて、少なからず私の心と体は慰められてきた。  だが、私は彼と出会ってしまった。この男よりも王に似た者と。

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