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第6-1話顔合わせ

 屋敷の中を一通り巡った後。私たちは中庭を雑談しながら歩き、敷地の隅にある離れの建物へと向かう。  二階建ての民家を一回り大きくした木造の建物。その前には黒衣をまとった六人の護衛たち――一本当は七人だったが、ついさっき始末させた――が整列し、私たちの訪れに備えていた。  フードを深く被って顔を隠した異様な風貌に、幼い彼が強張る。確かに初見では驚くだろう。  少しでも不安を和らげるために、私は彼の肩を優しく抱いた。 「彼らは私の護衛です。いつもは姿を見せず、物陰に控えながら常に守ってくれるのですが、今日は貴方のために特別に姿を出してもらいました」 「オ……私のため、ですか?」 「これから貴方は彼らに学び、私の護衛となってもらいます。彼らの教えを厳しいと感じることもあるでしょうが、それは貴方を死なせまいと思うからこそ……期待していますよ」  私の本心をひとつ添えれば、彼の目が活き活きと輝き、「はいっ!」とやる気に満ちた声が返ってくる。  これなら大丈夫と私が背中をポンと叩き、彼を護衛たちの元へ送り出す。  しっかりとした足取りで彼は向かうと、大きな声で「よろしくお願いします!」と挨拶した。  各々に護衛たちがフードを外して「よろしくな」「みっちり扱いてやるぜ!」と挨拶を返す中、彼らを取りまとめる長の男が私の元へ寄ってきた。護衛の中では一番小柄な壮年の男だが、身軽で素早い動きと長年役目を果たし続けて積み重ねた戦いの技術は群を抜いていた。

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